【コラム】「限界突破は突然に」(高橋歩美)

限界突破は突然に

 

小学1年生の長い2学期が終わりました。

去年の今頃は教育相談を終えて、特別支援学校か地域の学校かを悩んでいた頃でした。たくさん相談して悩んだ中で、出した答えは「みんなと生きる」。

地域の小学校への入学でした。

それはもちろん「個」の特性を踏まえた上での選択なので、支援学校に行ったら人の中で生きられないとかそんな単純な話をしているのではありません。

これは我が家の息子の話であることを大前提に読んでください。

小学校の1年目が終わりを迎えようとする今、一番大きく変わったと思うことは字が書けるようになったことでした。

私は小学校入学まで療育の中で書字も意識していたほうで(だと思っていま)した。字を書くために、点つなぎ、線むすび、絵カードマッチング、絵字マッチング。歩行訓練など色々やってました。

小学校に入学するとき、私は学校の先生方に「勉強面は望みません。少しでもみんなと一緒に活動をさせてください。」と伝えました。

息子の一番の強みは「周りを見て成長するところ」であると思っていたからです。先生は私の意見ももちろん尊重してくれましたが、「学校ですから、少しでも本人が勉強できるようにしていきたいと思います」そう返答しました。

私は心のどこかで無理だと思っていました。

何年間も色々やったけど、鉛筆を持つことも、姿勢の継続も難しい。

45分間とは言わずとも20分でも難しい。一定時間その場にいるだけでもすごいことだと思える、発語もないこの子が、字を書いたり、数字の概念を理解したりすることは難しい、そう半分諦め気味に思っていました。

でも、息子は私の意に反してものすごいスピードで成長し、字を書くようになりました。

学校では毎日繰り返し平仮名、片仮名、数字を書かせてくれました。数字に関しては、個数を数えてその数に合う数字まで書けるようになりました。

字が書けたことだけではありません。

運動会、持久走大会、仲良し発表会に餅つき大会、参観日、そして日々の授業。全部が全部うまくいったわけではないけれど、時間ややり方を工夫して「みんなと一緒に参加する」ことを叶えてくれました。

特に持久走大会では、長女は走り切ることを、次女は順位を上げることを、息子は最後まで参加できることをそれぞれ目標に参加しました。同じ時間を過ごすけど、目標や目的は違って当然。それぞれが自分で意味を持てばどんな活動も無駄にはならない。

逆にどんなにいい時間も意味を考えずにやってたら無駄になる。それは大人になって仕事でもプライベートでも、何かをするときには大事なこと。

それさえしっかり持っていたら誰に何を言われても気にならないし、周りのことも気にならなくなる、そう気づかされた大きな学びでした。

気付けば、幼稚園の3年間の延長線上に「小学校1年」を積み重ねることができていて、私が一番望んだ形で、もうこれ以上はないという環境で学ばせてもらえていました。

これは本人と先生方が頑張ってくれたことが一番大きかったと思います。合わせて、教育相談を終えてからこの子を理解してもらおうと資料を作ったり、動画をまとめてケース会を持ったり、相談支援や幼稚園の先生、療育施設の先生みんなを巻き込んで準備してきたり、母としてできる限りをしてきたことも功を奏した形になったのではと思えました。

母親って時に我が子のために無限の力を発揮する反面、悪い影響も与えると感じました。

この子がここまでできると思っていなかった私。勝手に私の枠内に収めこもうとした私。そこにひるまず長年の経験から勉学に取り組むことにしてくれた先生。これが親から離れて学ぶ「学校」「集団生活」の良さだと改めて感じました。

基盤は家庭ですが、私たち親だけで育てていたら、この子は今ここまで育っていない。

友達や先生や関わってくれたすべての人がいるからこの子は成長していると。偏見を持たないことの大切さと、療育と教育は違うこと。

「息子」としてのこの子と、「生徒」としてのこの子はまた違う。社会性を身に付けるということの本質を考えさせられました。

一保護者としても、一教員としても、一人間としてもこの子を通して考えさせられています。何歳になっても日々勉強なんだと感じています。

さて、そんな私がインクルーシブ教育って何だ?と思い、今年度赤い羽根共同募金の助成をいただき取り組んだ、映画「みんなの学校」の上映会のお礼&木村泰子先生講演会のご案内。

11月3日、4日今治市総合福祉センターで映画「みんなの学校」の上映会をさせていただきました。

約260名の方に参加いただき、鑑賞後のアンケートにも涙が出そうなほど感動する感想をたくさんお寄せいただき、すべてこの映画に出演されていた木村先生にもシェアさせていただきました。ご参加いただきましたみなさん、本当にありがとうございました。

令和6年1月7日(日)には映画「みんなの学校」の舞台大阪市立大空小学校初代校長の木村泰子先生に今治にお越しいただき、講演をしていただきます。まだまだお席ありますのでご興味ある方は是非ご参加ください。

申し込みフォームはこちら https://forms.gle/KEtXF8UTYM5Xm3Nn7

 

 

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高橋歩美

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