【コラム】奇声~変容を受け入れる~(高橋歩美)

第二回「奇声~変容を受け入れる~」

 

前回、アンケートの案内をさせていただき、多くの方々のご協力により現時点で3項目のアンケートに各60~100近くの御意見が集まっています。本当にありがとうございます。このアンケートは三月末まで実施していますので、まだまだ拡散・ご協力よろしくお願いします。アンケート結果はみとん今治やその他のみなさんにわかりやすい形で共有できるように考えています。なるべく早く共有できるよう頑張ります。

前回のコラムはこちら。

「【コラム】発達障がいの息子の園選びと入園準備(高橋歩美)」

前回のアンケートはこちら↓

現在①発達障がい児を抱える方、②支援する方 ③子育て中の方向けにそれぞれの悩みを教えていただきたくアンケートを実施しています。ご協力いただける方は下記URLをクリックしてアンケートにご協力ください。

3月末締め切りです。

①発達障がい児(発達に不安)を抱える保護者向け

https://forms.gle/eoL1KU4c1PRvj7U57

①障がい児に関わる(関わっていた)教育関係者・支援者向け

https://forms.gle/yAwjW8ds2nguqsTt8

②①、②以外の子育て中(子育てをしてきた・するかもしれない)方向け

https://forms.gle/v7AtUFPoe9Bhcd4RA

 


今回は、そのアンケートにあった御意見の一つ「奇声」をテーマに書きたいと思います。

自閉症の4歳の我が子は喃語、発話ありませんが、最近声を出すようになりました。

しかし、喃語でも発語でもなく彼の声は、「漏音(ろうおん)」(無意識に出てしまっていて、本人も出ていることさえ無意識かもしれない音)なのか、それとも発話の前の意味のある「音」「声」なのかわかりません。どちらにせよ、周囲の人からすると「奇声」と思われるものです。

 我が子は甲高い「アーーー」や「キャーー」もしくは、短い「お」「う」という強い音を出します。出すタイミングは様々ですが、家族と一緒にいる時や、幼稚園などにお迎えに行った時によく出る傾向があります。

自宅にいる時は構いませんが、最近では外出時に急に奇声を発し、私も驚き困惑することが増えてきました。息子とは歩行トレーニングも兼ねてよく近所のコンビニへ行きます。

以前は店内で静かに飛び跳ねてお目当てのチョコを買って帰っていたのが、つい先日はレジの前で急に大きな声で「キャーー」と叫んでしまいました。私は思わず彼の口を塞いでしまいました(笑)店を出る時に「すみません。」と謝りましたが、もうそろそろお店の方にも説明しておかないとなぁと思いながら店を後にしました。

 声を止めることは非常に難しいです。私の大好きな著書「僕が飛び跳ねる理由」を書いた自閉症の東田直樹さんは、著書の中でこのように自身の声に関してこのように綴っています。

“変な声を出している時には、自分が言いたくて話しているのではありません。もちろん、落ち着くために自分の声を聞きたくて、自分が簡単に言える言葉やフレーズを喋ることもあります。コントロールできない声というのは、自分が話したくて喋っているわけではなくて、反射のように出てしまうのです。”

“人に迷惑をかけていることは、分かっています。これまでに、奇声を上げて、何度恥ずかしい思いをしたことでしょう。僕も静かにしたいのです。けれども、僕たちは口を閉じるとか、静かにするとか言われても、そのやり方がわからないのです。声は僕らの呼吸のように、僕らの口から出ていくものだという感じです”

奇声をなぜ上げるのか。楽しいからか、うれしいからか、癖か、こだわりかもしれません。東田さん自身はこのように書かれていますが、その他の方がそうかはわかりません。真のところは本人にしかわかり得ませんが、毎日一緒にいる私は、息子は周囲に人がいる時や集中している時、療育施設や園で過ごすときの方が奇声は少なく、自宅でくつろいでいる時や意識が落ちた時に出やすい傾向がある、と感じています。(が、これが本当に正しいかはわかりません。あくまで私の推測です。)

このような声を100%防ぐことは難しいかもしれませんが、察して予防することはできるのでは、と私は考えています。現に集中して歩いている時、奇声はほぼありません。例えば、どうしても奇声を出してほしくない時には意識が落ちないようなるべく集中できることをさせる。意識を保ち続ける行動をとる。その場所と状況内で可能であることを試していくことは大切だと考えていて、そういった対処法を行っている施設に通ったり、勉強会に参加したりして学んだことを息子に試しています。柔軟に。変容を受け入れ、試してみることは大切だと思います。

我が子は「キャーー」という奇声ですが、例えば、言葉はうまく出せないけれど語尾の「~したい」は言える。だけど発音がうまくできず「いたい」と連呼してしまう子や、昔覚えたキャラクターの名前や台詞を無意識に連呼してしまう子もいます。

それが好きだから、したいからなのかだって真意はわかりません。無意識に出ているだけならなくしてしまいたい、でも、もしかしたら本当に何かを伝えたくて出している意味がある音かもしれない。不必要な奇声であれば、できればなくなってほしいのが本音です。

でも、本人や周囲の努力ではどうしようもないのであれば、それらを止めることが難しいということを周囲の方々にもっと知っておいてほしいなと思います。

自分がしないこと、自分とは違うことを人は「おかしい」「異質」だと感じてしまいますが、それは自然なことだと思います。だから排除をするのではなく受け入れる意識を持っていただけたらありがたいなと思います。

私も保護者として受け入れてもらえるように理解してもらえるように努力をしたいと思います。その一歩がこういったコラムであったり周囲へのカミングアウトであったり、小さいことから進める以外にないと思っています。

わかってもらえない、理解してもらえない、つらい気持ちはよくわかります。が、私もですが息子を生む前にこういった問題を真剣に捉えて考えたかというと、そうではありません。

息子を生んで初めてその世界に関わった。この子を産んで、私の世界は変わりました。

今、おそらく特別支援教育に携わっている方の中にはこういった方も多いのではないかと思うのです。私自身も息子が自閉症だから特別支援教育を学び始めました。家庭療育を始めてから様々な施設へ行き、勉強会にも参加したり、家でも色々試してみたりしたのは、我が子の問題で自分自身の問題として捉えなければならない状況に陥ったからなのです。

そういった方が多い分野だからこそ、本であれ、講話であれ、何であっても先人の意見は貴重でありがたいのです。

でもこれさえすればいいという正解は残念ながらありません。

この分野は発展途上で正解もない。でも、それは健常者の子育ても同じで、姉たちの子育てにも正解はない。教育の現場も同じで、こうしたほうがいいかもはあっても正解はない。

経験を積み重ねながらやっていく以外なく、時代の流れに沿って変化をしていかなければならない部分もある。だからこそ、保護者と教育の現場、療育の現場、医療、関わるもの全てが連携をしていくことが大切だと思っています。

覚悟と信念を持って関わることはもちろん、変容を柔軟に受け入れていく姿勢もまた大事であると考えています。本人も保護者も支援者も、もっとスムーズにいくためにどうしたらいいだろう。こうしたら?ああしたら?その思いを一歩ずつ形にしていくことが次の世代のためになると私は思っています。

大変だけど、息子のおかげで以前よりはるかに楽しい世界に足を踏み入れたと思っています。

①発達障がい児(発達に不安)を抱える保護者向け

https://forms.gle/eoL1KU4c1PRvj7U57

②障がい児に関わる(関わっていた)教育関係者・支援者向け

https://forms.gle/yAwjW8ds2nguqsTt8

③①、②以外の子育て中(子育てをしてきた・するかもしれない)方向け

https://forms.gle/v7AtUFPoe9Bhcd4RA

 

高橋歩美

bummiiy28@gmail.com

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