【コラム】奇声から考えるそれぞれの価値観(高橋歩美)
桜が散り、新緑の季節になりましたね。気分もウキウキする季節がやってきました。
そんな陽気に誘われてか(笑)、息子が奇声をかなり出すようになりました。小学校まであと1年ないこのタイミングでの奇声の問題は本当に気が気じゃない問題です。
声が出ること自体は喜ばしいことなんですが、意図して出せていないこと大きさもタイミングも調整できないことが、支援級入学を視野に入れている我が家にとってはとてもネックに思えます。
「なぜ、それがネックになるのか?」
最近、ふと思い、自問自答を繰り返していました。
(以下私の心の中です。)
(奇声は)幼稚園まではいいけど小学校になるとね。
どうして小学校ではダメなの?
だって勉強するところだから静かにしてないと。
静かにしてないと勉強できないの?静かにできる子じゃないと小学校へは進めないの?
いや、そうゆうわけじゃないけど、みんなの迷惑になるかなと。
みんなって?迷惑って何?誰に注意されるの?先生?友達?
昔、テスト期間中の部活の指導をしていたときのこと。
雨で、校内でランニングや階段ダッシュなどをしていました。進学クラスの前を走るので静かにしないとな。と思っていた矢先、そのクラスの担任が出てきてこう言いました。
「大丈夫。大丈夫。ちょっとうるさいくらいで集中力が切れるようならそれまでのもんやから。気にせずやって」
こういう場面ではよく、
「勉強してるから静かに」というのを見聞きしていた私にとって、キラッと光る瞬間でした。
逆境をプラスに取る力。前向きに受け取れる力。その先生の人となりがそこにありました。そのクラスの子たちは確かに成績も群を抜いて良かったように覚えています。
奇声の問題について考えている時、このことを思い出し、結局は「何をするか」じゃなくて「誰とするか」だなと。
誰に教えてもらうことになるのか。それは小学生というまだまだいくらでもどうにでもなる柔らかさを持つ子どもたちにとっては非常に重要であると私は思います。
ママ友と話す中でここに話が行き着くことは正直多いです。
―「誰に」教えてもらうのか。―
私は「先生」のことだけを言っているのではありません。学校という場所。家庭という場所。地域という場所。全てにおいて「人」が原点になると思っています。
では、初めの課題に戻ります。
例えば息子が先生の話の途中で奇声を上げたとして、
学校現場で、担任が「うるさい。静かにしなさい。静かにできないなら出ていきなさい。」と言ったとしましょう。(あくまで過程です。こんな教師いないと思いますが 笑)
きっと周りの生徒は、あの子はうるさい子。いけない子。うるさかったら出て行かないと行けないんだ。
そう思うでしょう。そしていつしか担任がいない場所でも、「うるさい」「出ていけ」と言うようになります。
ここで一言でも「授業の邪魔」と言われたとしたら、その一言で子どもたちの頭には「あの子は邪魔なんだ」という新しい価値が付与されることになると思います。
しかし、同じ場面で、「わぁすごい。大きな声。元気いっぱいだね。どうしても出ちゃうんだよね。みんな、さっきのところで聞こえなかったことはない?大丈夫?」
とでも言ったものなら、子どもたちの中には違う価値が付与されるでしょう。
そう、子どもの価値観は、大人が影響することが大きいと私は思っています。
例えばこの奇声の件にしても、大人がどうこうゆう前に、
「こんな声が出るんだけど、みんなはどう思う?」って最初に聞いたらいいのです。
うるさいという子もいれば、仕方ないんじゃないってゆう子もいるかもしれません。そういう意見が出た後にこの問題をどう捉えていくのかを決めるのがクラス運営であって、それが子どもが主体的に学ぶということなのではないのかなと思います。
もちろん、みんなの勉強が進まないくらい暴れまわるというのは別問題です。学習の機会は保障されなければなりません。
そういうものの考え方・捉え方をどれだけ私たち大人ができているでしょうか。
個人的な私の印象ですが、みんな生きるのに必死で我が子と向き合う余裕すらないような人が多いような感じがしています。(私もその一人です。)
自分や相手を大切にできる子になるためには、その子自身が大切にされてきた経験が必要です。人はされてきたことしか返せないと私は思っています。
偉そうに書いてますが、これは私の理想であって、私自身ができていることではありません。
でもそうなりたいと願うことすらしていなければ、実現することは不可能なのです。
私はそんな世界が息子の周りに広がってくれることを祈って、この子の生きる場所を一緒に見つけていけたらいいなと思っています。
さて、就学相談が7月にありますが、まだまだコロナ禍で集まったりもできず、一人で悶々としている人は居ませんか?
誰に聞いたらいいのか。何をしたらいいのか?
そんな不安がある方で、ちょっと座談会とかしてみたいなっていう方がいたら一緒にしませんか?
保護者会ちあふるでは、ざっくばらんな座談会(zoom)でできたらなぁと考えています。まだまだ企画途中ですが、興味がある方がいましたらぜひメールで連絡いただけたらと思います。
今日も長々読んでいただきありがとうございました。ここまで読んでくださっているあなたは、きっと心の余裕のある方ですね。
今日の写真のうち、掃除をしている写真は、誰に言われたわけでもなく、誰かの見様見真似で雑巾がけを始めた息子をパチリ。
この後階段までしてくれますが、雑巾が絞れず床はびしょびしょになりましたw
もう一つは、姉と垣生山に登った写真。初めての山。二人ともキラキラしていました。
子どもの力は無限大だと感じる良い思い出でした。
では5月も楽しんでいきましょう
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高橋歩美