【コラム】「責任の所在」(高橋歩美)

「責任の所在」

 

自閉症の年中さんの息子。お遊戯会が終わりました。

1月に合唱、合奏をした際は、後ろにいた先生にもたれかかるようにして立っていて、ほとんど何もできていないような様子でした。

そこから先生と話し、近くに大人がいる方がうまくいかないのではないかと考え、2月のお遊戯会では先生はなるべく近くにいないようにしてやってみることにしました。

練習はいつものように週1の参加。ダンスと劇に参加。10月の運動会の際のダンスでは同じ場所に立ち続けることはできたものの、歌い出しに少し反応する程度でした。

それが4か月後、歌い出しだけでなく全体的に手を振ったり、みんなに遅れはするものの回転をしたり、以前よりも反応をする息子がいました。うまくいくとき、行かない時の差はありましたが、それでも確実に上達しているように私には見えました。

劇はお友達に挟んでもらい参加。大好きなウサギの役をもらいました。

移動も足型マークを頼りに。劇の間飛び出すことなく、立ち続けたそうです。

毎日のお迎えの時、先生がその日の様子を伝えてくれていた中で、本当に微々たる息子の変化を見てくれていてそれを喜んでくれたり、息子の様子を見ていた周囲の友達の反応を伝えてくれたりするなど、息子を認め、大切にしてくれていることがひしひしと伝わってきたことがなにより私の中でうれしく安心するものでありました。

何ができるということよりも、そういった人たちに出逢えていることがこの子の財産であるように感じています。

来年度は教育相談の年。

そろそろ就学に向けて来年度の療育の日数など本格的に調整をしようと思ったのが年末で、年明けに発達支援センターの巡回相談なども予定していました。しかしコロナで予定は全て中止。

どんなにコロナが広まろうと、子どもたちの成長も進学も待ったなし。本当にやりづらい状況であると同時に、こんな時代に育つ子どもたちの将来が心配になる日々です。

 

例年で行けば、7月末にある教育相談は6月頭~中旬にかけて申し込みが始まります。

療育施設によっては4月か5月に教育相談に向けての説明会を開いてくれるところもあるようです。

幼稚園や保育園、小学校に通う方も、気になる場合は少し早めに先生に聞いておくといいのではないかと思います。進学についての相談や見学、発達検査なども計画立ててておくと、私たち大人も見通しが立ち焦らなくて済むと思います。

我が家は、息子の療育手帳の更新も重なる年でもあり、手続きの確認に加え+αで色々な方に意見を伺ってみたいと思っているので、早めに行動に移そうとしましたが、先に書いたように私の園では巡回訪問での相談は難しくなってしまいました。

では、何ならできるか?どうすればできるか?と考え、とりあえず子どもの様子は動画で見せてシェアし、関係各所が一斉に集まることができないなら、個別、もしくはzoomで相談する方法をお願いすることにしました。

相談の場、といえば保護者会。オフラインは中止が続いていました。

そんな中、先日オンラインでの保護者会を内輪で計画してやってみると、これが意外と面白く。続いて、えひめ凸凹カフェにもオンラインで参加してみると、こちらも家にいながら他の方の話が聞けて良かったなぁと感じました。

みんな悩んでないかな?と心配していた矢先に、社会福祉協議会の保護者会の案内が来ました。

今回はオンラインでも参加できるそうです。興味がある方は是非。

場所により、ネット環境が整っていなかったり、機材の問題だったりでオンラインは難しいこともあるかもしれません。

昔から思っていましたが、発達障がい児の保護者会に参加したくても託児の問題が付き物でした。預けないと参加できないけど預け先がない。そこまでして相談に行くのは気が引ける。子連れなら参加できるのに、など。

発達障がいの有無に関わらず、小さい子を連れて外出が難しい家庭も多いと思うのです。現在、自粛、休校、休園を余儀なくされている家庭も多く、そういったことも踏まえ、この機会に自宅にいながらにして気軽に子どものことを相談できる環境の整備が整ったらいいなとも思います。

 

教育相談の話に戻りますが、昨年私の周りで教育相談を受けた方の話を聞くと、家族の意向と判定が合致しスムーズに進んだ方、家族の意向と違った判定が出て悩んだ方、そして想定の判定が出たとしても最後まで悩んだ方。

学校と協議しても、意向とは違った進学先になった方。本当に様々でした。

教育相談を受けて思うような判定が出なくても、それが決定ではありません。最終的には保護者の意向が大切だと言われます。もちろん、意向が通らないこともあります。それでも、家族が納得いくまで話し合えていることが私は一番大切であると考えます。

私が昔、自閉症のお子さんを育てた先輩保護者の方に言われた言葉が今も心に残っています。

「先生になんとかしてもらおうなんておこがましい。先生は他のお子さんも何十人も見ないといけない。自分の子は自分で見ないと。」と。それは、「あそこに行けば、ここに行けば、大丈夫。」とか、「そういうことじゃない」ってことを痛烈に私に教えてくれました。

「あなたたちの子なんだから、あなたたちで育てないと」

これは人に頼るな。という意味では決してないと思います。

人にはめいっぱい頼っていいのです。

ただ、どんな子にしたいのかについて核を持つ、最終的な判断を下すのは親であると言っていると思うのです。迷って悩んでいい。私もどんな答えになっても、絶対泣くと思います。

どうなっても、どこに行っても不安でしょうがないと思うのです。でも、悩んだ末にそういう状態になるのと、何も考えず教育相談を受け、結果が出て初めて家族と本人の意向を確かめるのでは全然違うと思うのです。

この子をどうしたいのか、どんな子に育ってほしいのか、そして大切なのは、その子自身がどうなりたいのか。家族でしっかり話し合っていてほしいと思います。そうでなければ、思いに反した結果になった場合に、“他人に責任を負わせている”状態に気づかず、不満だけが蓄積してしまうと思うのです。

全ての子の子育てに当てはまるのではないかと私は思います。親が親として果たす役割は本来もっとずっと深いところにあって、子どもたちにはもっとずっと大きな可能性を秘めているのではないかと思います。

 

進路を決めるというのは年齢の差はあれど避けては通れないことで、悩むこと自体は当然だと思います。調べたり悩んだり十分せずに、「もっとこうしとけばよかった」「私はそんなこと知らなかった」そうなって他人のせいにしたり、自責することが本人含め家族にとって一番良くないように私は思うのです。

そう思ったので、少し早い時期ではありますが、教育相談について書きました。

教育相談までの詳しい流れは私の過去のコラムにも載せています【コラム】教育相談(就学相談)をご存知ですか?し、今治市教育委員会にも流れについては掲載されていますので、確認しておきたい方は目を通しておくと安心かなと思います。

日々、大変ですが、頑張りましょう。

 

「【コラム】発達障がいの息子の園選びと入園準備」

「【コラム】奇声~変容を受け入れる~」

「【コラム】行事の参加~「正解」って何でしょう~」

「【コラム】一息ついて、立ち止まって、周りを見ると見えてくるもの。」

「【コラム】場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)“話したいのに話せない”」

「【コラム】超低出生体重児の育児。できることは少しずつでいい、もう焦らない。」

「【コラム】教育相談(就学相談)をご存知ですか?(高橋歩美)」

「【コラム】運動会という挑戦(高橋歩美)」

「【コラム】やってみようの「芽」(高橋歩美)」

「【コラム】「普通であってほしい」(高橋歩美)」

「【コラム】助け合ってできること(高橋歩美)」

 

高橋歩美

bummiiy28@gmail.com

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