【コラム】教育相談を終えて<前半>(高橋歩美)
教育相談を終えて<前半>最後にアンケートもあるよ
1か月前、今治市の教育相談が終わりました。
今回は、あくまでも参加しての一個人の感想として書きます。
会場に入ってステージがありました。息子は入ってすぐステージに登りました。そのステージに登る階段には×印もなく、登ってはいけないという事前のお知らせも私にもなかったので私も気にしていませんでした。
でも、面談が始まって私はこう聞かれました。
「息子さんは初めての場所でステージに登るんですか?」
私はこの質問の意味自体がよくわかりませんでした。「はじめての場所でステージ」の比較対象になる経験自体がそうないことと、何の支援もない状態で登ったことについて取り上げられても私としては「?」でした。
もし登ったのが「机」だったら、聞かれて当然であるように思います。ふと、もしここに姉たちが一緒にいたとしても、ステージに登ったと思います。姉たちに対して登らないようにするのであれば、登りそうになった時もしくは事前に「登らないでね」と伝えておくか、×印で示しておいてもらうかだろうと、そう思ったのでこの質問に対しては答えかねると思いました。
また、ブースに入ってすぐおもちゃがあり、息子は入るなりすぐ目の前のおもちゃに気を取られ、夢中になって遊んでいました。
その状態で息子に名前の確認をしていましたが、横から話しかけても先生は眼中に入っていません。反応がないからかさらに大きな声で息子に質問していましたが、視線を合わせていない状態で横からどんなに話しかけても息子は反応をしませんでした。
それが特性だからです。
もし、口頭での反応を見たいのであれば、集中できるような環境で、確実に目が合った状態で行ってほしいと思いました。
私が相談をしている間、息子はおもちゃのスペースの2m四方のマットの上から出ようとすると止められを繰り返し、しまいには泣き出しました。でも他の相談者の場合では走り回るのを許可されていた子もいたことも聞いていて、個人による差がかなりあることも気になりました。
息子に限らず、この場に相談に来る子は多少なりとも何かしらの特性があるはずです。
そういったお子さんの多くは大きな声を苦手とします。
つい先日、保育士試験を受けましたが、その際の実技では、必ず設定として「◯歳児に話しかけるように」とありました。来年小学生とは言えどまだ5歳の子どもです。話し方や声のボリュームにも配慮があって然るべきでは、と思いました。
でも、地域の小学校に行くのであればこのくらいクリアしなければならないのかも?と自宅に帰って考えました。それもなんだか少し違うような気がしていました。
今回は「ステージに登ること」と「マットの上に居続けること」でしたが、これに関しては「いいこと」「よくないこと」の線引きが個人の判断やその場の環境設定により大きく変わると思ったからです。
実際には今回息子は何一つ「間違った」ことはしていないのです。ただその先生の理想の姿とは「違った」のかもしれません。もしも、この教育相談の場が、そういった微妙な感覚の違いを可視化することが日常生活の中に求められている子達の相談であり、その子たちがこれから長い時間過ごすことになるであろう各校のスペシャリストの先生方がこの場にいるのだとしたら…
そう考えると私は、この問題を真剣に考える必要があるように思いました。
初めての場所、人に対して本来の力を出し切れない子たちは、同時に環境設定で大きく変化を遂げる可能性のある子達でもあります。
特別支援教育は、この何十年変わらないとよく言われます。今治だけに限ったことではありません。しかし、もう十分変化を必要とする時代にきています。
子どもたちは、本能的に自分を受容してくれるかどうか正しく判断する感覚を持ち合わせているように私は思っています。
私たち大人、とりわけ支援する立場の大人ができることは、その本来の力を伸ばせる環境作りのお手伝いをすることです。子どもは子どもの中で育つ、学びの主役は子どもたち自身です。
教育相談での判定がもうすぐ出ます。今治市では判定結果に関わらず、最終決定権は保護者にあります。
しかし、このことを本当にすべての保護者が正しく認識しているでしょうか?
私は、この判定のことについて以前から調べてこのコラムにも書き、自分でもよくわかっていたつもりの人間でした。それでも、今回の教育相談は衝撃でした。
息子の資料も発達検査のスコアも事前に提出していたにも関わらずの対応に純粋に悲しくなりました。そしてこの先にある学校生活に非常に不安を感じたのも事実です。
今回、ここに書くことは正直悩みました。
でも、毎年同じように悩み、悲しむ方がいるのも事実です。愚痴だけ言うのは簡単ですが、それならば改善をしていくよう行動する必要があると思いました。
私たちの後に続くお母さんと子どもたちが生きやすい街にしていくために。当事者が訴えていかなければ、周りにはわからないのです。理解されないと嘆くだけでは宝の持ち腐れと同じです。
そう思い、私がこのコラムを書き始めた原点に帰って今回は書かせてもらいました。
そこで、教育相談を受けた方へのアンケートをしてみようと思いました。
何かやる時は必ずPDCAサイクルでしますよね?
ならば教育相談も毎年反省を生かして改善していくべきではないでしょうか?だって小学校という大きな進路選択を決める機会の一つです。
保護者、学校、施設、相談支援事業所。それぞれの立場で参加した感想やご意見をお待ちします。
良かったらご協力お願いします。
こちらのアンケートで個人が特定されることはありません。
アンケート結果はこちらで公開予定です。
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高橋歩美