【コラム】やってみようの「芽」(高橋歩美)
教育相談が終わった年長さんたちは進路を決定している時期で、私も約一年後、どんな選択肢を選ぶのかを体験談を聞きながらよりリアルに考えています。
息子が生まれてからずっとこの子の就学先はどうなるのだろうと漠然とした不安が頭の片隅にはあったのが、今年色々調べていく中で、支援員の予算がなく希望しても支援員や支援ボランティアがつかない現状があることがわかるにつれ、このままでは息子は私の希望や、本人の能力以前に支援学校一択になるのでは、とよりリアルに考えるようになりました。(詳しくは前々回の投稿へ)
「【コラム】教育相談(就学相談)をご存知ですか?(高橋歩美)」
今治市は市長が変わり、教育分野に限らず全体的に改革をしようという動きがあります。
私のような発達障がい児を持つ親にとっては、支援員の有無は、子が地域の小学校に進めるか進めないか、また、普通級になるか支援級になるかに大きく関わる重要なポイントであり、それは将来の選択にも大きな分岐点になるので、教育分野の改革にあたって本当に改善をしてほしいと切に願っています。
誰かに任せて待っているだけでは何も変わらない現状にいる今、どうにかこういった困りごとを抱えていることを伝えて、改善できないのかと色んな人に会い話をして進めていると、以前は見えていなかった“やってみようの「芽」” が見えるようになりました。
例えば一つはこちら。ワ―ママ夢サミットです。
お母さんたちに「起業」という新しい働き方を提案し、理想の生き方を手に入れるきっかけ作りを行うことで、今治を今以上に明るく住みやすい街にしたいという思いで、全8回の連続講座とオンラインコミュニティでのサポートに取り組まれています。
先日終わってしまいましたが、サイボウズ株式会社の青野慶久社長をお招きしての記念講演には私も参加しましたが、非常に面白い新鮮な内容でした。時代のニーズに合わせた内容、また全講座オンラインで受講できるのも忙しい方やコロナ禍では有難い企画だと思いました。現在も講座は実施中ですので興味ある方はぜひ。
もう一つは、こちら。11月6日に開催されます。
オーガニック・有機という言葉が良く聞かれるようになっていますが、皆さん詳しく知っていますか?体や心は食べたものからできている。知らないことを知ることはとても大事なことだと私は思います。まず今治市のゆうき給食をすすめる会・ゆうき生協今治地区会というものがあることも私は知らなかったので、こんな取り組みをしている方がいるんだと知るきっかけになりました。
また、お隣の西条市にはよもぎ蒸しやクレイなど自然の力を使って日頃の疲れを癒すことで、ママさんたちを応援しているサロンを経営されている方もいます。そういった方たちが主催した子育てイベントも行われています。
新居浜には、我が子を通わせたいという思いで保育園「にいはま森のようちえん」を立ち上げたママさんもいます。
フリースクールも構想しているそのバイタリティってすごいですよね。
誰もやったことがないことをやろうとすることって大変なんですよね。
1を2にするよりも、0から1にする方が難しい。
現代人は多忙で、毎日同じことを繰り返す日々に埋もれている方が多いと思います。
でも、立ち止まっていつもと違う方角を見た時に、今まで見えていなかったものが見えるようになります。例えば、「あの車いいな」と思った瞬間から街中でその車ばかりが見えてくることありませんか?知覚は人それぞれ違います。自分の知覚も意識するかしないかによって変わるのです。つまり、同じものを見ていても、人により見えているものは違うのです。
10年前の私は子育てに関するもの全てに興味がなかったです。仕事人間でした。息子が自閉症とわかる4年前の私には、きっと上で紹介したものは何一つヒットしなかったと思います。
私は、目の前に敷かれたレールを走ることしか知りませんでした。でも息子がレールから外れた時に初めて、そのレールは自分たちのために敷かれたものではなく、他の誰かのものであったことを知りました。
これからは自分で道を作る必要があることに気づきました。人は意識次第で変わると私は思っています。だからこそ、今までがこうだったからという慣習でこの先の未来を見ることはもったいないと思ったのです。こうだったらいいのにと思うのであれば、そのように意識を変えること。思考が変われば、その人の周りの世界は必ず変わると私は思っています。
今回私が紹介したものはほんの一部で、きっとこの先この記事を読んだ人は意識して目についてくるようになると思います。
やろうとしていないだけで、自分たちでなんとかできることはたくさんあります。発達障がい児を抱える保護者同士で話をすると、この経験を糧に誰かの役に立つことをしたいと思っていらっしゃる方は意外に多いように感じています。
できることはまだまだいっぱいあるように私は思います。自分たちでできることはやっていきつつ、でも、教育現場など個人ではどうにもならないことは良い方向に向かうよう意見を出し続けていくことが必要だと思います。
冒頭に、教育相談のことを書きましたが、これもそのうちの一つです。どんな道を歩んでもいいのです。そこに既に敷かれてあるレール以外が良かったら、それを声に出せばいいし、そこから新しい道を自分たちで開拓することも一つの道だと思うのです。
そのためには現状を正しく知ることが必要です。どうしてその道が今までなかったのか、調べて知って考えることをしなければなりません。機会を自分たちで掴んでいく努力は必要です。一人でするのは苦しいですがみんなでやれば負担も軽くなる。私はそう思っています。
やってみようの芽はどの分野でもあるはずです。
私は発達障がい児の子育ての分野で。やってみたいことがあるならやってみていいのではと思います。人生は1回。誰にどんなに文句を言われても、泣いても笑っても1回しかないのであれば楽しく過ごす方がいいと私は思います。
そう思えるようになったのは息子が生まれて、この子との将来を考えるようになってきたつい最近のこと。30代半ばになってやっと新しい分野のスタートラインに立っているようなそんな感じです。
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高橋歩美