【コラム】超低出生体重児の育児。できることは少しずつでいい、もう焦らない。
第5回は高橋さんのお友達ママさんの寄稿。
「【コラム】発達障がいの息子の園選びと入園準備(高橋歩美)」
「【コラム】行事の参加~「正解」って何でしょう~(高橋歩美)」
「【コラム】一息ついて、立ち止まって、周りを見ると見えてくるもの。」
「【コラム】場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)“話したいのに話せない”」
※今回は高橋さんではなく、お友達に寄稿していただきました。連絡先などは高橋さんのものを記載しております。
超低出生体重児とは、体が十分に成熟しないまま生まれた乳児のことを言い、2,500g未満が低出生体重児で、このうち1000g未満が超低出生体重児と位置付けられています。
出生した日を月齢としますが、小さく生まれた乳児は出産予定日が修正0日と計算します。
私には5歳の男の子がいます。 今年年長になりました。息子は787gの超低出生体重児です。NICUには5か月11日お世話になりました。出生時は今後の成長過程について色々聞きました。
入院中は、体が未熟なため、 たくさんの管に繋がれた息子です。
ある程度体重が増えてくると授乳や哺乳瓶からミルクを飲む練習をしていました。しかし、体内の状態を診るためレントゲンを撮ると肺が真っ白になっており、その日から、口から飲む練習はストップし、ミルクは鼻チューブを通して注入になりました。 直接チューブを胃に通していたので体重や身長は増えていきました。
呼吸も安定しておらず、 酸素も使用していました。退院の目途が立っても口からの摂取はできないため、自宅でセルフケアできるようにと経管栄養と酸素療法の取り扱いについて説明を受けました。鼻チューブの通し方も教わりました。退院してからも、 酸素と鼻チューブを付けたままなので定期健診と買い物以外は外出しませんでした。
退院して2か月経った頃、酸素の値が安定し、摂食指導をしてくださる松山の病院を紹介してもらい月に1回摂食の状態を診てもらっていました。
口から摂取することができるようになったのは月齢1歳(修正8か月)でした。ミルクにトロミを付けて少しずつスプーンに乗せて練習していました。離乳食を始めたときは1歳6か月 (修正1歳2か月) でした。
明らかに同年代のお子さんと比べると一目瞭然でした。
歩き回っている子、走っている子、お菓子を食べている子。小さく生まれたから仕方がない、比べてはいけない、そう思っていましたが、どこかですぐに追いつくとも思っていました。しかし、なかなか発達は追い付かず、焦る私がいました。
この子は発育がゆっくりな子なのだから慌てないようにしようと、気持ちにセーブをかけつつも、“小学生までに追い付くかな。”“いつ言葉が出るのかな。”そんなことばかり考えていました。
そして、 1歳6か月検診時に、色々検査した後、最後に診察をしてくれた小児科医の先生が「787gで産まれて今順調に成長していますよ。 お母さん頑張りましたね。」 と言ってくださって、その一言がすごく嬉しかったです。 (修正でいえば、 1歳2か月になったばかりです。)
2歳になった頃には、鼻チューブと酸素が外れました。このままチューブが外れないのでは、という不安もあったので、外れたときは「本当に良かった。」とほっとしました。
それから初めて児童館や子育て支援センターに出向き遊ばせました。それまであまり外に出歩くことがなかったので、周りの人の目が怖かったです。
2歳になっても言葉が出ず、興味を持ったら何でも口に入れてしまい、適したおもちゃ遊びもできませんでした。これは5歳になった現在も同じです。
いつになったら発達が伸びるのかと思うことは多々あります。
療育への道に進んだきっかけは、年齢が上がってもなかなか発達せず、 出産した病院で発達検査をしたところ、 発達年齢が当時2歳で9か月程しかないことが判明したからでした。 そして、早く発達が追い付けばと思い2歳9か月で療育を始めました。
この当時、保育園や幼稚園での入園も視野に入れていました。フォロー検診の際、 主治医に幼稚園や保育園に預けてみようかと相談したところ、「まだまだ同年代のお子さんに比べるとできないことばかりで、お子さんがしんどくなるんじゃないか。」と言われ、児童発達支援事業への利用が決まり通園することにしました。
初めて利用した頃は、 先生の指示も通らず、個別で対応する中で、色んな道具を用いながら何に興味を持つかなど試してくれました。 でも利用は月に数回。他にも様々な施設に行き見学をして子供に合う療育を探しました。
ここなら、子供の状態を見てくれるだろうと預けるも、おもちゃを口に入れて 「こんなになりました。 (おもちゃが壊れた。)」 と言われ、それを聞くたび辛くて子供に合った所じゃなかったと気付き、また別の事業所に行って相談したりもしました。今、利用している所では、 子供の状態を理解してくれて、相談員さんも親身になって相談に乗ってくれてすごく助けられています。
1年前に比べると、色々と出来ることが増えてきました。
言葉の理解はまだ難しく、先生の指示も通りにくいです。(慣れた先生とのやり取りは出来るようになっています。)
少しずつ意思表示が出始め、 場合により指示も通るようになりました。 食事はまだ一人では食べられず付き添いは必要ですが、フォークとスプーンで食べています。トイレはおむつが外れていないため、定時排泄を促しています。トイレで排泄自体は出来るようになりましたが、自分から排泄を知らせることはまだ難しいです。
でも、一人で出来ることも増えてきています。
靴を脱いで靴箱に入れることや衣類の着脱は一人で出来るようになりました。 運動も大好きです。散歩も大好きです。ダンスはできないけど、音楽が流れると喜びます。何でもいいから出来ることが増えると嬉しいものです。周りを見たら出来ないことばかりだけど、好きな遊びは伸びているなと感じています。
療育へ預けているとき、発達障がい者の保護者会やペアレント・トレーニングなどがあれば参加させてもらい、子供のことを相談しています。
育児で悩んだときは、助けを求めてほしいです。
これは、発達障がいとは限らず、不安になっている保護者の方がいたら周りが手を差し伸べてほしいです。 私はどうしたら発達が追い付くのか、ネットにばかり頼り、知育のおもちゃも買ってみたもののあまり遊んでくれずで、当時はかなり精神的に参っていました。
発達検査をする度にドキドキするし、発達年齢は上がるかな。そんな期待も空しく、結果は数か月上がるのみ。年齢は上がっても発達年齢は横ばい。
もう焦らない。元気に成長していればそれだけでいい。出来ることも少しずつ増えていけばいい。 私は、そんな気持ちでいます。
一つ要望があるとしたら、私は超低出生体重児の保護者会 (未熟児の育児)とかあればいいなと思っています。 発達は何歳で追いついたのか、小学生の保護者の方がいれば学校生活での様子とか知りたいです。
息子は今では身長109cm・体重は18kg前後をウロウロしています。小さく生まれたとは思えないくらいに体は成長曲線に沿って成長をしています。
先月、5月上旬に発達検査を受けてきました。検査をするという認識ができていないため、私 (両親)からの口頭での結果となりました。が、本人ができないので、発達年齢は5歳の時点で 1歳10か月という結果でした。
今、来年度に向けて小学校をどうするか悩んでいます。
去年から、就学の話は主治医とも相談していました。今の段階では、特別支援学校を考えています。親としてもその方が、教育についていけるのではと考えていますが、どんなに悩んでも結局は子供が楽しく通える学校の方が親としては安心するのではと思っています。
育児をしていてストレスのない人はいないと思います。
一人の時間も大切です。子供と離れているときにこそ自分時間を大切に。拙い文章になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
あくまで私の寄稿は、子供の様子を綴りました。
すべての超低出生体重児のお子さんが発達障がいになるとは限りません。ご理解くださいますようよろしくお願いします。
※今回は高橋さんではなく、お友達に寄稿していただきました。連絡先などは高橋さんのものを記載しております。
高橋歩美