ばりじんNo.20。木工屋のけーじまん。
木のぬくもりを伝える。木工屋のけーじまん。
今回のばりじんは20人目の節目の紹介は、玉川で木工屋というハンドメイド家具・雑貨を届けるけーじまんこと、渡辺慶司さんです。
屋号である「木工屋」が示す通り、木材を使ったハンドメイド家具や雑貨を手がけるお店です。
その素敵な玉川のお店でお話しを伺ってきました。
玉川ダムの直ぐ近くの湖畔の里の隣にあるこの看板。
そしてこの建物。
山から松山へ向かう人は必ず目にする光景だと思います。
彼の今の職業への想いは、同時に祖父から続くこの古民家と共にあったそうです。
木工屋ができるまで。
タオル屋の長男として生まれた彼は、今治工業高校を卒業後、高校の専門であった機械科とはほとんど無関係の電気関係の技術職として大阪に就職。
しばらくして実家のタオル屋が忙しくなったとのことで帰省。
業務の波の大きいタオル業界にしばらくいると、閑散期に。
その後は鉄工所、トラックの運転手を経て、再び実家のタオル屋へ。
そしてまた閑散期がくると、今度は住宅関連の営業職へ。
この頃結婚して小さな子供がいた彼は、ずっと仕事が忙しくて家に帰れない生活を続けるうちに、「子供がおるのに家に帰れないのは辛い。」と感じ、大手造船会社へ就職。
時間が予想できる仕事に就いたことで余裕は生まれたものの、「ずっとここで仕事をするのは何か違うかな。」と思っていたと言います。
いろんな仕事をしている間も、日曜大工などをしていたことはあっても、木と関わる仕事というのはここまで一切皆無。
では何が一体きっかけになったのか。
玉川ダムサイドフリーマーケット。
実は彼が手がけるもう一つの顔は、「玉川ダムサイドフリーマケット」の仕掛け人。
みとん今治でも何度か紹介しましたが、大人気のフリーマーケットイベントです。
実はこの木工屋を始める前に始めていたイベントで、造船会社時代に、この古民家と土地をなんとかして使えないかということがきっかけで、イベントをしようと決意。
「子供の頃から祖父母の家がずっと空き家で、何か活用したいという気持ちがありました。その頃から青空マーケットみたいなのがいいかな〜と漠然とイメージしてました。」
「始めるきっかけは、知り合いが古道具なんかを売る場所がないという言葉を聞き、そんな場所を提供できれば。」そんな想いでスタートしたこの事業。
もちろん初めは認知もなく店舗数も15店舗ほどと少なかったと話します。
そんなイベントも、次回の開催では60店舗の出店が予定され、応募者がはみ出すほどの大人気。来場者数も4000人を超え、今治でも有数のイベントとなりました。
そのイベントを始めたときに、日曜大工をしていた彼は、「どうせならおれも出してみよう。」という軽い気持ちでいくつかのハンドメイド雑貨を出品。
実はニーズがあることに気づき、松山でのフリマにも積極的に参加し、徐々にファンを獲得していったと話します。
そんな彼が会社を辞めようと思うのに大した時間はかかりませんでした。
ある冬の会社での昼休み中。
「今月いっぱいで会社辞めるから。」と奥様へ電話。
もちろん猛反対。
その当時のことを鮮明に覚えていると話す奥様は、
「もうほんとに迷惑でしたよ!結婚詐欺師って記事に書いておいてください!笑」
と突然の言い渡された脱サラの体験を語ります。
もちろん親族・知人も反対する中、両親だけは応援してくれたそうです。
「みんなの猛反対で逆に火がつきましたね。やってやるという気持ちしかなかったです。奥さんにはほんとに申し訳ないと思いますけど、ぼくB型ですから仕方ないでんすよ。笑」と血液型を武器に話してくれました。
木工屋について。
現在、木工屋には様々な注文が舞い込み、オーダーが常に入っている状態だと話します。
その仕事は多岐に渡り、小さな雑貨を作ることもあれば、マンションの備え付けの家具を丸ごと作ったり、家具のリメイクをしたり、店舗等のプロデュースをしたりと、いろんな分野で活躍しています。
「やっぱりいろんな人との出会いがこの仕事を支えてくれています。工場も松山にあるんですが、その場所も造船時代の同僚が紹介してくれました。そうやっていろんな人に支えていただくことで今のこの状況があると思っています。」
そんな木工屋の奥には素敵なカフェが。
シンプルなメニューではあるものの、その什器・備品が本物だらけで、木のぬくもりに加え、手のぬくもりが感じられます。
「安く販売される『木っぽい』ものっていうのはどこでも手に入ります。ここでは本物だけを提供してますし、大量生産ではなく、世界に一つだけのもの、自分だけのものを求めていろんな人がやってきます。」
実際お客様は今治に限らず県内幅広くおり、
「フットワーク軽いのでどこでも行きますよ。行ってゆっくり話をして、その人の思い入れであったりこだわりであったりをしっかり聞いて作成します。」
「とりあえずイメージをいただければ、それを具体化していけると思います。」
と話す通り、まずは足を運んでいただいたり、「こんなものが欲しい」と相談をいただければと話します。
「まだまだ知名度が足りてないと思ってます。『木材を使ったものなら、とりあえず木工屋に話してみよか。』という状況を作りたいんです。」
と今後の展望を話していただきました。
2013年に始まった木工屋も4年が経ちました。
これからも木工屋・けーじまんに大注目です。