ばりじんNo.33。ビストロヒマル長谷部和博さん。
料理一筋25年。「美味しい」の声をただ求めて。
ばりじん、ぞろ目の33人目のご紹介は、今治でフレンチレストラン「BISTRO himaru」を経営している長谷部和博さんです。
少しコワモテの印象からはほど遠い、ずっと「美味しい」の声を求めて料理を作り続けてきた歴史をお伺いしてきました。
フレンチのシェフとして常に試行錯誤し、チャレンジし続ける姿をご覧いただければと思います。
ずっと料理が好きだった学生時代
現在は今治の波方出身の長谷部さん。
実は子供の頃から料理に興味を持っていたとのこと。
「なんか子供の頃の『将来の夢』みたいなところに、シェフって書いてたみたいです。」と、小さい頃からの夢が今につながっている様子。
またそれとは別の夢も持っていたみたいで、
「実は小学校高学年くらいの時は『うちのこにかぎって※』というドラマを見てて、子役というか俳優になりたいって実は憧れてましたね。」と意外な憧れもあったそうです。(※1984年にTBS系列で放送された小学校を舞台にした学園ドラマ)
それでも現実的に料理人の道を目指し「ドレッシングでいろいろ試してみたりしてた」らしく、食べることが好きで、さらにはいろんなアレンジを学生時代から家族などにも振舞っていたそうです。
そうして高校を卒業し、料理学校などを経ずにそのまま松山のホテル会社に入社。
料理人人生がスタートします。
サラリーマンとしてのシェフ時代
専門学校などで料理の勉強をすることなども選択肢としてある中で、直接社会人に飛び込んだ長谷部さん。
「ぼくはたぶん学生とかだとしっかり遊んじゃうタイプなんで、いち早く現場に出たいって気持ちがあったのと、やっぱり自分でいろいろと試してたので、もっと実践的にいろんな料理を作ってみたいという気持ちがあったので学校には行かなかったですね。」
そう話す長谷部さんですが、やはり入社してみるものの理想と現実は大きく異なることに。
「やっぱり下ごしらえとか、メインを作ることをすぐにはさせてもらえなかったので、思ってたのはこんなのじゃないという気持ちはありましたね。」
その仕事内容はフレンチはもちろん、宴会料理など幅広い分野の料理を経験。
入社から3〜4年くらいでメインをやらせてもらえるように。
そんな中で、「やっぱりその頃も家に帰って料理をいろいろ試してみたりしましたね。昔からアレンジというか組み合わせを考えたりするのが好きだったせいか、家に持ち帰っていろんなアレンジを考えてました。」と下積み時代を振り返ります。
結局6年くらいではじめの会社を退職し、松山の別のホテルへ転職。
そこでも同じく洋食を中心としたシェフを5年ほど経験し、今治へ帰省。
今治でも同じくホテルに就職し、10年ほど勤めます。
20年ほどシェフという肩書きながら、サラリーマンと同じということに不満とはいえないまでも、不自由さを感じていた長谷部さん。
「やっぱり料理人である以上どこかで独立をというのは若い時からふわっとはありましたね。やっぱり料理長と呼ばれる立場でも、結局サラリーマンと同じなので、できることに制限がかかるんですよね。それがやっぱり独立への想いを強くしましたね。」
そうして2015年に、「BISTRO himaru」を開業。
「独立しようかなという気持ちには波があって、周期でやってくるんですよ。でもいざやるとなったら一切迷いはなくて、OPENに突き進みました。」
こうして今治でも数少ないフレンチレストランがスタートします。
BISTRO himaruについて
独立はしたものの、ここでも理想と現実のギャップに直面します。
「めちゃくちゃ予想とは違ってましたね。実は未だに目標を一度も達成できてないので。」とその難しさを話します。ただ、
「客層だけどいうと、自分の思っていたより幅広い層の方に来ていただいているのかなという印象があります。やっぱり女性中心ですけどね。」とポジティブなギャップもあったようです。
ご存じない方もいらっしゃると思うので最後のところに地図を貼っておきますが、実はかなりわかりにくいというか隠れ家的な場所にあるお店。
そのため「食事をされる前に下見に来られる方がいたり、諦めて途中で帰っちゃう人なんかもいますね。」
そんな『隠れ家的』な場所にした理由を聞いてみると、
「本当は狙ってここにしたんですよ。みたいなこともいいたいんですけど、実際は普通に金銭的な部分が大きいですかね。」とその内情をリアルに語ってくれました。
ただ、そんな長谷部さんもやはりお客さんの「美味しかった」で毎日が満たされるそうで、
「実は値段設定とかも結構ギリギリのラインでさせてもらってるので、しんどい部分もありますけど、やっぱりお客様の美味しかったの一言で癒されますね。」
「お会計の時などに笑顔で厨房に向けてお礼を言っていただけるのがやっぱり料理人としての嬉しい瞬間です。」
これからのこと
「実は最近近所の方から、ここにお店があるなんて知らんかったと言われたんですよ。もう丸3年になるのに、近所の方に知ってもらえてないっていうくらいの認知度なんだなと再認識させられました。」
「お店をスタートさせる時は、うまくいけば2店舗3店舗と増やしたいっていう誰もが思う漠然としたイメージはありましたけど、やっぱりそんな簡単なことではないですよね。」と現状を理解しており、
「今は後先のことは考えずに、ただその日来ていただけるお客様に最高のものをお届けして、満足してもらえることを考えています。」
と、かつて抱いていた目標を今は置いて、目の前のことに集中しているそうです。
「やっぱり『フレンチ』というだけで敷居が多少あったりもすると思うので、まずはやっぱり多くの人に知ってもらうことですね。場所も含めて。」
そう話す長谷部さんに、これだけは食べておいてほしいというものを聞いてみると、
「とにかくこれっていうものはないですね。自信がないとかではなく、押し付ける必要はないかなという感じです。とにかく一度料理を楽しんでいただいて、それから判断いただければいいと思ってます。」
料理一本で愚直に美味しいものと向き合ってきた長谷部さん。
それを地元今治で、できるだけリーズナブルな価格でフレンチ楽しんでほしいという想いからスタートしたBISTRO himaru。
今は遠くの景色は見ずに、一つ一つの料理と、目の前のお客さんに集中することだけを考えています。
外見は少しコワモテですが、出来上がる料理はさながらアート作品です。
「とりあえず一度食べてみてから判断してほしい。」その言葉には、作るものへの自信がにじみ出ています。
パーティーなどの貸切にも対応する、すごくカジュアルな雰囲気です。
ぜひお店に行った時は気軽にお声をかけてみください。
BISTRO himaru
オーナー 長谷部和博
今治市馬越町3丁目1-6
TEL0898-35-3810
11:00〜15:00
18:00〜22:00
定休日:木曜日