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【コラム】“旅と絵” 理想と現実のギャップを味わったフランス旅(デウェルシヤン穂波)

ゴッホが住んでいたというアパート

こんにちは!

12月に開催したA Pumpkin Girlの絵本も完成し、ベルギーのアパートに無事帰り着きました。

ベルギーでは、というかヨーロッパではセントラルヒーティングという暖房システムがあり、部屋中が心地よく温まるのでとっても快適です♫

さて、今回はフランス旅のお話をしようと思います。

私は絵を描くし絵を観るのも好きなので、芸術の都パリにはずっと行ってみたかったのです!しかしなかなか「今だ!」というタイミングがなく先延ばしにしていました。

しかしベルギーからパリはたったの2時間。

念願のパリ旅行が決まってからは、これをご褒美に思えばどんな事も頑張れました。

たとえ嫌な客に出くわしても、風邪のひきはじめのような寒気がする日に冷蔵庫の掃除を任されても、余裕のよっちゃんでこなせました。

憧れのパリ

ファッション・絵画・演劇・バレエなどあらゆる芸術の一流が集まる世界都市パリ。

そこを訪れられるなんてテンションが上がらないわけがないです。

ベルギーの首都ブリュッセルから、幸運にもアップグレードされた指定席のチケットと駅で買ったスターバックスのカフェラテを持って、足取り軽く上機嫌でユーロスターに乗り込みました。

そしてそのわずか15分後、電車酔いにうなされ車窓からの景色を楽しむ余裕もなくトイレに通い詰め、永遠に感じる2時間を過ごすなんて予想もしていませんでしたけれど。

スーパー体調不良を乗り切ってパリの街へ踏み入ると、ごった返す人とむせかえるアンモニア臭。

“ゆったりとした時間が流れ、お洒落なパリジェンヌ達が颯爽と歩き、焼き立てのパンの香りが漂う街”という私の理想と期待で彩られたパリはすぐに崩れ去りました。

公衆トイレが全然無いので、多くの男性が立派な建物の壁に対して用を足しているのです。

私も後々思い知ったのですが、トイレに行きたいからカフェに寄り、カフェでコーヒーやアルコールを飲むからまたすぐにトイレに行きたくなるというトイレ×カフェの無限ループに陥り、街歩きをしている間中ずっと「トイレ探しミッション」に追われ大変でした。

そんなこんなで、まずは悪臭から逃れるために小高い丘にあるサクレ・クール寺院へ行きました。

映画「アメリ」にも登場した寺院で、人気観光スポットです。

あまり詳しくはないですが、よくある教会とは少し違う佇まいで、宮殿のようなドーム型の屋根、内側の豪華な装飾とブルーとゴールドが印象的なジーザスの絵画がとても美しく、長蛇の列を並んででも入場した価値はありました。

サクレクールを裏から下っていくと、今も昔もたくさんの画家が集まるテルトル広場にたどり着きます。

似顔絵を描いてあげるという画家をあしらいながら、またどんどん道を下っていくと、ところ狭しと美味しそうな野菜や果物が並べられた青果屋さんや、ワイン屋さん、パン屋さん、チーズ屋さんとどれも専門店ばかりが並ぶ大通りに続き、とにかくいろいろ試したくて両手いっぱいに美味しそうな食べ物を買い込みました。

パリでレストランに入るとお値段が張りますが、専門店で良質な食材を買うのはそんなに高くありません。

美しくガーデニングされた公園のベンチに座り、グラスがなかったのでワインをラッパ飲みしながら、カマンベールチーズをちぎってトマトと一緒にバゲットに挟んで食べるのも最高でした。

そしてパリといえばエッフェル塔や凱旋門!

ここにももれなく主人に連れていってもらいました。

きっと私の一人旅だと迷いに迷ってたどり着けず、腹ぺこになって帰るはめになっていたことでしょう。

私が一人で旅に出ると、大抵迷いまくってハプニングが勃発しまくり、見たかったものは全く見られず、出会った人たちにお世話になりまくりその土地というよりはそこに住む人との思い出がたくさん残るのですが、今回は主人と一緒だったのでパリを存分に満喫できました。

パリでの食事

私がパリで一番食べてみたかったのはガレットです。

そば粉で作られるクレープ生地でサーモンやチーズや野菜などの様々な食材を包んで出される料理で、日本で一度食べたのですが美味しいとは思えず、これは是が非でも本場で食さねばと思っていました。

結局すごく美味しくて4泊5日の滞在中、2回もランチで食べました。

その時一緒に注文したシードルは1回目が当たりで2回目はハズレでした。

当たりハズレは好みの問題なのですが、発酵の過程かりんごや梨の種類によってかすごく嫌な香りを放つものがあり、2回目のレストランで注文して出てきたのがそれだったので香りに慣れるまで苦労しました。

そして、とても楽しみにしていたのが本場のフレンチです。

ホテルに入るとかなり高額になると思いますが、小さなレストランだと2人で100〜120ユーロほどでワインやチーズ、前菜からデザートまでゆっくりと楽しめ大満足でした!

パリの一押し美術館

パリにある全ての美術館に行ったわけではないですが、僭越ながら私のオススメの美術館を私の嗜好と先入観をふんだんに添えてご紹介します。

私は宗教画がそんなに好きではないのでルーブル美術館には行かず、オルセー美術館に行きオープンから閉館までこの美術館にいました。

本当にオススメです!

ルノワールゴッホやマネ、ドガやゴーギャンやミレー、知らなかったけど素晴らしい画家の作品達…いやー本当に今思い出しても最高でした!!

宗教画は悲惨な場面が多いから嫌いですけど、オルセー美術館にあるものは面白い作品が多く、宗教画すらも楽しめます。

同じ聖書の場面を描いているものでも、背景がオリジナルの世界観だったり、色彩がパステル調で表現方法が柔らかだったり、人物の表情にも個性があってすごく好きでした。

彫刻も素敵で、石でできているなんて思えないような滑らかで美しい女性や少年、天使がたくさんあり、最後の方には上質なファブリックや家具の展示もあり、豊富な作品の種類と点数に時がすぎるのも忘れて没頭しました。

ランチも美術館のレストランでとったのですが、インテリアがとっても素敵でした。

ここで初めてフランスのサラミを食べたのですが、通常お肉をあまり好んで食べない私でも「いくらでも食べられる!」と感じるほど美味しかったです。

続いてはオランジュリー美術館。

ここではセザンヌ、モディリアーニ、ピカソ、ルノワール、シスレーなどの印象派とポスト印象派の有名な画家の作品をたくさん見ることが出来ます。

中でも見どころはモネが晩年に描いた睡蓮です。

大迫力のキャンバスにダイナミックな筆使いと表現力豊かな色彩で描かれた美しいモネの庭には圧倒されます。

ここはゆっくり回っても半日くらいで観られるので、2回でも3回でもパリに行ったら絶対に訪れたい美術館です。

ジヴェルニーにあるおとぎの国“モネの庭”

クロード・モネの存在を知ってからずっと行ってみたかったのですが、原田マハさんの「ジヴェルニーの食卓」を読んで「モネが作った美しい庭を実際に見てみたい!」という思いがMAXになり、「パリからは遠いから…」という主人の意見を押し切り、念願のモネの庭に訪れることが出来ました。

ゆっくり朝ゴハンを食べて、ホテルの近くを歩き回りワインやチーズの専門店でピクニックのための食材を調達し、電車に乗り込んでおよそ1時間半。

大きくて立派な建物が多いパリとはまた違った趣の可愛らしい街“ジヴェルニー”に到着です。

駅からはバスが出ているのですが、町並みをゆっくり楽しんだりピクニックをしたりするためにバスには乗らず、私達はのんびり歩いていきました。

途中、セーヌ川の辺りで青々とした芝生が気持ちよさそうな場所を見つけ、そこでピクニックをしました。

お天気も良く、セーヌ川を走る大きな船や、向こう岸の町並みを見ながら食べるランチはレストランで食べる料理に勝るとも劣らない美味しさでした。

歩くこと2時間程でモネの庭に到着しました。

モネの庭の周辺にも数カ所のギャラリーやアイスクリーム屋さんがあり、ミントレモン味のシャーベットは絶品でした。

いよいよモネの庭に入ると、なんて素敵な植物たち!そしてなんとも広大な土地!この庭を維持するためには沢山の人のたくさんの労力と、知識と技術、それからセンスが必要です。

これをたったの10ユーロ弱で見られるなんて安すぎる!モネが住んでいた家も自由に見学することが出来、目の覚める黄色でセンス良くインテリアされたダイニングルームや、美しいブルーのタイルが敷き詰められたキッチンは本で読んだ通りで終始大興奮でした。

パリは英語が通じる

フランスは英語を話さないとよく聞きますが、きっと渋々ながらになんでしょうがパリでは英語で話してくれました。

地方へ行くと全然英語が通じないので、多分フランスの英語力は日本と同じレベルなんだと思います◎

そして、フランス語の“ありがとう”という意味の“メルシービアン”と言うと、すましているフランス人の誰もが笑顔を見せてくれるので、アジア人差別があるとはいうけれど、そこは素直に嬉しいんだなと微笑ましかったです(^^)

今回はフランスで見て触れた芸術がいかに素敵だったかがメインになってしまいました。

フランスには画家たちが描いた風景が色彩そのままに存在し、彼らが生きて見て表現したものを想像しながら歩くのはとても楽しかったです。

私は印象派以降の絵画が大好きです。

アカデミーや協会の抑圧から反発し、それぞれの感性で自由に絵を描く。

画廊にとどまり人物や世界を教科書通りに絵を描くのではなく、目で見て感じたものを自分が表現したいように生き生きと描く。

そんな風に絵を描くように人生も歩いていけたら素敵だなと思います。

当時は風当たりも厳しく、絵に対する評価も周りからの目も辛辣だったようですが、それでも自分を曲げずに芯を通し描きぬく姿がとても潔く美しく私の目には映ります。

このパリ旅行では、自分の生き方や憧れ、芯を通すことの難しさ、時代を切り開いていく人たちのことをたくさん考えました。

モネもゴッホも日本の浮世絵が好きだったらしいです。

誰に何と言われようとも、自分の心の声を聞き大事なことを見つめて生きていけたら彼らのような誰かを感動されられる人生の仕事が全うできるのかなと思いました。

私もこのパリ旅行で彼らに勇気をもらえて、“A Pumpkin Girl”を完成できたと思います。

読んでみたい方はインスタグラムでお問い合わせくださいませ。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました\(^o^)/

ではまた来月お楽しみに〜!

 

デウェルシヤン 穂波

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