ばりじんNo.9 田中祐大さん。
祈るという文化を発信したい。
第9弾のばりじん。
今回のご紹介は、装いも新たに移転オープンしました田中仏光堂の4代目。田中祐大さんです。
新しくオープンした店内で取材をさせていただきました。
半笑いなのはご了承ください。
田中仏光堂は、およそ100年続く老舗仏壇店。
そんな老舗が、100年目にして時代に応じた大きなチャレンジを。
今治の高校を卒業し、同志社大学を卒業した彼は、東証1部上場の、ファクトリーオートメーション総合メーカーに就職。
大学の頃から実家を継ぐことをもちろん意識していたものの、都会での仕事や、おっきな会社で勝負してみたかったという気持ちで就職。
その会社に在籍中に、東北大震災が発生。
「人生は何があるかわからない。自分のやりたいことをやっておかなきゃダメだ。」
という気持ちを強く抱くようになり、仕事自体は楽しかったが、会社を退職し、何を思ったか世界一周旅行へ。
そんな中で、
「会社を経営するのはきっと大変なことなんだろうけど、やってみたい。」
と、好奇心と長男である使命感との両方の気持ちが、今治へのUターンを決心させました。
「後継ぎを意識して帰ったけど、普通の一般の人と変わらない状態で入ったからこの業界は面白いですよ。」
「一尺一寸でまだ商品の大きさ表現してる業界とか面白いでしょ。」
と、業界特有の面白さを表現していました。
ただ、家族で一緒に仕事するということには、すごく悩むこともあるみたいで、
「死ぬほど喧嘩しましたよ。やっぱり家族と一緒にビジネスするってことは、家族の新しい一面を良くも悪くも発見しますから。もちろんすごいなと尊敬する部分もありますけど、それだけじゃないですからね。笑」
「それでも今はすごくいい家族になりつつあると自覚しています。みんなで力を合わせていい場所にしようという考えがみんな一致してますよ。」
しかし、高価な仏壇仏具が売れなくなった時代です。
若者の仏教離れもあり、この業界にとっては難しい時代だとも言えます。
「需要が少なくなることは想定できるんです。だからこそ、どの業界でも共通することかもしれませんが、ただ物を売るだけじゃなくて、いろんなご提案をできる場所になれればいいと思っています。」
お店の老朽化により、家業に戻る前から建て替えることは決まっていました。
そこで新しいお店は、仏壇屋とは思われないような雰囲気で、従来の仏壇屋さんにはない、若者が気軽に入れるようなお店にしたかったと言います。
東京のデザイン事務所に依頼し、今回のデザインになりました。
「供養・いのり・こころ」が新しいキャッチコピーです。
この言葉のどれを欠いても、豊かな社会は成立しないと考えています。
そんな祈りの心を受け継いでいける場所にしたいということでした。
親子3代でお店に来て、おばあちゃんが孫に仏壇仏具の説明をする。
そんな光景をいっぱい見てみたいと語っていました。
「心にほっこりとローソクが灯るような場所にしたいんです。」
そう語る4代目。
光ってますね。
神々しいですね。
あ。光々しいですね。
この素敵な笑顔でお待ちしております。
まだ新しくなった田中仏光堂に行ってない方はぜひ一度足を運んでみてください。
田中仏光堂
田中祐大