ピッチ内外でチームを救う守護神。誰よりも大きな声で。
ピッチ内外で精神的な支えに。
毎年恒例のFC今治の選手紹介!
6人目は、今シーズンから加入した絶対的な守護神背番号1番GK修行智仁選手です。
ベテランならではの発想、サッカーに取り組む姿勢や、今治との関わり方。新しい風を吹き込む守護神の、プレイヤーとしても、コーチとしても精神的な支柱として存在するその素顔に迫りました。
ぜひ最後までご覧ください。
心に火がつく場所への移籍
大学を出たのち、ガイナーレ鳥取、FC町田ゼルビア、大分トリニータと、JFL、J3、J2と上のカテゴリーに長く在籍していた修行選手。過去の所属チームで昇格を経験し、燃え尽き症候群にもなりかけていたときにFC今治からもらった声が心に火をつけたそうです。
ーー大分を退団し、どういった経緯で今治へ。
まあ正直年齢的にも、引退なのか続けるのか微妙なところでした。実際コーチになる選択肢で声をかけてもらえたりしたので、やりたいことがなんなのかを考えるという意味で難しかったです。
まあそのうち導かれるものがあるんだろうなぁという感じで自分を待っていましたね。
ーーそれでも今治へ。
まあSNSなんかでは「心に火がついた」という表現を使いましたけど、実際心を動かされたのは、GKコーチがいないことによる「コーチの兼任」でした。
ーーそのオファーが魅力的だった。
そうですね。もちろん、元チームメイトの太田康介だったり当時のGMの高司さんに話を聞いたりして、今治のビジョンのこととかも聞いた上での決断ではありましたけど。
選手であることは前提として、プラスアルファでキーパーコーチの兼任でどっちもできるというのはすごく魅力的に映りましたね。
ーー共感する部分もあった。
というよりも、この年齢になると、目標がないとキツいんですよ。何のためにやるのかっていうのが明確にないと頑張れない部分があるんです。
そう意味では、完全に燃え尽きでしたね。
ーー実際やってみていかがですか。
正直、思ってた以上に楽しいですね。
メニューとかも自分で決めて、監督やコーチもすごく協力してくれるので、今までとは違って、自分で自分も一緒にプロデュースするイメージになるので、めちゃくちゃやりがいを感じています。
ーー練習メニューも全部決めているんですか。
そうです。全部やっています。
ーーやることがすごく多くないですか。
そんなに感じないですけどね。もちろんやらなきゃいけない部分は多いですよ。
いつも練習のビデオを撮って、毎日それをチェックして、長所短所のトレーニングを考えて、次の日のメニューを決めて連絡するっていう流れなので。もちろん対戦相手のデータも見ますしね。
あんまりそれをやっている時間も別に苦痛じゃないので、つらくはないですよ。
若いチームを少し大人に
FC今治に加入したときに感じた幼さ。それでもまだまだ不十分で、さらにはもっといい意味でのふてぶてしさを持って欲しいと願う修行選手。GKのチームメイトにもすごく恵まれていると感じているようです。昇格を目指す上で、さらなる成長を求めます。
ーーFC今治に加入した時の印象はいかがでしたか。
まあ幼いな〜という感覚でしたね。まだ子ども感がありました。
みんなにも言いましたけどね。
ーーそこから大人になりつつありますか。
そうですね、あると思いますよ。まだまだ足りないですけど、確実に前に進んでいると思います。
ーー修行選手を見ている中で、試合中にすごく安心感を感じるんですが。
ありがとうございます。まあキーパーやってたら、やっていく中ですごくメンタルはタフになると思いますよ。
そうじゃなきゃやってられないんですよ。一つのミスで負けることもあるし、ビッグセーブしたら勝つってわけでもないですからね。それでも次の試合はくるわけで。
ーー自然とそうなるんですか。
どっかのタイミングで「これ普段の生活から変えていく必要があるかも」って思うようになりましたね。
日常生活でも感情のブレを少なくすることを意識していれば、試合にも冷静に挑めるかなと思います。
ーー修行選手のここを見てくれ!みたいなポイントってありますか。
あ〜。もちろん個人的な技術レベルではありますけど、ゲームについてはここを見てくれ!なんてのは全くないんですよね。
そんなメンタルでプレイしてていいことないんですよね。キーパーというポジションにとっては。
ーーえ、ないんですか。
ゲームにおいてはないですね。
キーパってあくまで受け身なので、こちらからアピールするものではないんですよ。なので、試合が終わって「修行今日なにもしてないな」っていう方が理想ですね。
「なんか後ろで大声で喋ってただけやなぁ」とかになるくらいですね。
ーー現状での成績についてはいかがですか。
まあそんなネガティブな印象はないですね。首位決戦のHonda戦でいえば、自分の退場で流れが一気に悪くなったので、悔やまれるところはありますけど。
そこで負けたことで、すごく悪い方向に自分たちから入っちゃってる感じがしましたね。
ーーそこがまだ幼い部分。
それもありますね。たまたまシーズンで3敗するのが連続できたくらいで思って、あとはふてぶてしさも必要だと思いますよ。外野の声を気にしないこととか。
ただいま今治を満喫中
初めて今治へやってきた修行選手。実はオフの日も含めていろんなところに出かけているようです。今治を満喫できているようです。
ーー今治を満喫できていますか。
そうですね。オフの日は近所をうろうろ散歩したりしてますし、島のほうにもいろいろ出かけたりしてます。オフの日は奥さん孝行です。笑
ーースローライフなんですね。
ぼくも奥さんもどっちも都会育ちなんで、自然がいっぱいでゆっくり時間が流れる田舎も居心地がいいんですよね。この歳になってくると。笑
ーー外食もされるんですか。
しますけど、ぼく食べれないものがめちゃくちゃあるんですよ。
ーー食べれないものとは?
血液検査で、自分に合う食材みたいなのをチェックしたら、小麦もダメだし、卵も乳製品も合わないみたいで、食べないようにしてるんですよ。
ーー外食したらほとんどアウトですね。
それもそうですけど、家では奥さんが料理してくれて食事管理もしてくれてるんですけど、かなり大変でメニューとかも苦労かけてますね。
ーーそれで豆乳にいきついたわけですね。
そうですそうです。ホエイってプロテインによく書いてるでしょ?あのプロテインもダメなんですよ。そんな時に豆乳ならいけるってなって、豆乳を飲むようになったんです。
ーーかなり食事に制限をかけているんですね。
まあ肉と魚はいけるので、そこまで感じてないですけど、奥さんは大変だと思います。
ーーずっとそういう食生活なんですか。
ぼく自身が、特徴のある選手じゃなかったし、体格的に圧倒してるわけではないので、誰よりも練習するしかないんですよね。ということは、誰よりも早く回復しなきゃいけないじゃないですか。
20代からずっとやっているので、そのケアの努力と工夫で上に行けたという感じです。
ーーならあまり外食しても楽しくない?
いや、そんなことないですよ。体に合わないものがわかれば、逆に体に合うものもわかってくるので。
ゆっくりする時はカフェとかじゃなくて、昔ながらの純喫茶が好きなので、見つけてはいろいろ行ってます。
そこで映像のチェックしたりして、気分転換してますよ。
おもしろくなってきた最終盤。
優勝と昇格を目指す中で、修行選手の頭の中はいたって冷静。さらにはこの状況を楽しめるようにと考えているようです。おもしろくなってきたとワクワクしている修行選手は、今治の独自の進化も考えているようです。
ーーいよいよ残り試合も少なくなってきましたが。
おもしろい感じになってきましたね。
ーーおもしろい?
この状況ってサッカー選手としてすごく成長できると思うんですよね。昇格や優勝が懸かっていて、負けられないヒリヒリした展開が続くのとか、すごく幸せだと思うんです。そういうチームにいれることって多くないんですよ。
サポーターも選手も一緒に成長できるチャンスだと思うんですよね。
ーーなるほど。
なんか、連敗してたらヤジしなきゃいけないとかいう声もあると思うんですけど、正直今治はそんな他のチームの真似なんてしなくていいと思うんですよね。
のほほんとしてる地域柄とかすごくいいじゃないですか。
ーーというのは。
なんか、夢スタのあの最前列に子どもたちが陣取って、大きな声出してくれるのってめちゃくちゃいいじゃないですか。ぼくはキーパーなので試合中にもよく子どもたちの応援とか、遊んでる声もたまに聞こえるんで、本当にあの雰囲気好きなんですよね。
あれが今治のよさじゃないんですかね。
ーーそれはぼくも思います。
ですよね?カテゴリーが上がればこうしなきゃいけないとかいう声もちろんあると思うんですけど、オリジナルでいいと思うんですよ。
よそが真似できないことをやっていけばいいと思うんですよね。新しいスタジアムのありかたでもいいとぼくは思いますよ。
ーー確かにそれもいいですね。
だから、なんかせっかくまだ何も染まってないチームなんだから、オリジナルでいければと思いますよ。
ーーその行く末を見守ってくれるということですね。
もちろんです。
ぼくは、ここにきた時から40歳までは現役選手でいけるはずだから「JFLからJ1へ同じチームでジャンプアップできる初めての選手」という冠がつくプレイヤーになることを目標にやってきましたから。
新しいスタジアムでプレイすることももちろん目標ですし。
ーーかなりチャレンジングですね。
維持するだけでも難しい年齢から、さらに技術面でのレベルアップがないとカテゴリーの変化に置いていかれますからね。今でもこれからもレベルを上げていくトレーニングをしていきます。
ーーそのためにもとにかくまずJ3へ。
J3はここからこのチームが成し遂げることの序章の序章だと思ってるので、燃え尽きずに最後まで行きますよ。
ベテランとして抜群の安定感を今シーズンからチームにもたらしてくれている修行選手。
感情の波を抑えていることで、チーム全体、まち全体、自分自身までもを客観的に見つめることができており、すごくフラットな状態で語ってくれました。
ゴールキーパーコーチのいない中での兼任の大変さも、「サッカー楽しいからやってるからノーストレス」だと話します。
40歳までの現役宣言も飛び出しており、ますますこの先が楽しみです。