元日本代表が果たす最大の親孝行。サッカーの力で今治を。
元日本代表が求める走る意義。
毎年恒例のFC今治の選手紹介!
7人目の紹介は、サイドバッグのスペシャリストとして、日本を代表する選手背番号3番DF駒野友一選手です。
FC今治に来た理由はもちろん、普段寡黙な男がチームのために最大限の力をピッチ内外で示し、さらには昇格へ導いたその1年を振り返っていただきました。
ぜひ最後までご覧ください。
※取材日は10月末と、昇格後の取材となっています。
○簡単プロフィール
和歌山県出身の駒野選手は、中学時代にサンフレッチェ広島ユースに加入。2000年にサンフレッチェとプロ契約を果たし、2007年まで主にサイドバックとして活躍。2008年からは活躍の舞台をジュビロ磐田に移し、2015年までプレイ。その後FC東京、アビスパ福岡を経てFC今治へ加入した。年代別の代表時代からサイドバックとして活躍し、2005年から日本代表に召集され、その後9年間に渡り日本代表で活躍。国際Aマッチの出場数は76試合。Jリーグアウォーズの優秀選手賞3回、ベストイレブン1回。
不十分だと感じたチームとしての一体感。
サッカー日本代表の試合を見てきた30歳前後以上の人なら誰もが知る選手。輝かしいキャリアを誇る選手が選んだ舞台は、今治という土地であり、JFLという舞台。その決断には強い決意があったはずです。そこで見た今治の景色の印象を聞きました。
ーーFC今治に来てみて、印象はいかがでしたか。
選手1人1人の技術はすごくいいものを持っているチームだと思います。
それを個人としてはいいかもしれないですけど、昨年のことを考えると、サッカーは11人でやるスポーツなので、チームとしてできていないところがあったのかなと思います。
ーーみんなの向く方向が一つではなかった。
11人でやるとなったら、昨年の特徴の攻撃的な部分だけではなく、守備もすごく求められるので、今年も最初は苦戦していましたけど、毎日練習していく中でに少しずつ体に染みついてきて、試合を通じて精度も上がってきたと思います。
ーーJFLというカテゴリーはいかがでしたか。
個人の能力として高い人は多いと思います。JFLの他のチームは対FC今治ということになると、戦い方に迷いがなく、失うものがないっていう勢いがあるので、そういう意味ではやりにくいですね。
ーーチームは失点こそ少ないものの、得点は減少傾向。
さっき言ったように相手の徹底したやり方と勢いに自分たちのリズムがなかなか作れないことが多い中で、結果だけみれば決定力のなさは感じますね。引き分けも多いですし。
ーーなにか解決策のようなものは。
試合中、局面局面で個人で打開しなきゃいけないところはあると思うんですけど、後ろからつないでいくにしても、やっぱり周りのサポートもいりますし、結局さっきの話の繰り返しになるんですけど、とにかく全員が同じ方向を向いてやることですよね。
守備も攻撃も全員でやらなきゃいけないので。それでチームとしての力はもっとつけていかなきゃいけないと思います。
納得のいかないパフォーマンス。
今シーズンの駒野選手は、全然満足していない様子。求めるレベルは常に高いところにあり、結果こそ昨年を上回るものの、まだまだ先を、そして上を見ています。
ーー今シーズンのご自身のパファーマンスについてはいかがですか。
満足とかは全くしてないですね。試合にずっと出ている以上、結果が必要になるのに、後半は勝ててないですしね。
ーーシーズン当初に個人的な目標を掲げていましたか。
全試合に絡む、結果を残すくらいですかね。
ーー結果こそが全てだと。
もちろんです。ぼくらは優勝、昇格をミッションにしてここに来ましたから。
いい状態を1年間持続するのってすごく難しいことなんですよね。中断期間とかあればそうですし。その中でチームとしていい状態を作っていきたいという想いは常にあります。
ーーシーズン中に一度駒野選手が集めたミーティングがあったと聞きました。
しましたね。あのときは気持ちの部分でチームに隙があったと感じていました。このままでは優勝はもちろん、昇格もできないんじゃないかって。
負けるのってすごく簡単なんですけど、勝つのってすごく大変なんですよ。そういった意味で危機感はいつもあって、なにかのきっかけになってほしいと思ってその時は声をかけました。
ーー結果としていかがでしたか。
ぼくが言ったタイミングはあくまできっかけの一つだと思いますけど、結果としてそのあと一人一人がグラウンドでしっかり表現をしてくれたと思っています。少しずついい結果も増えてきました。
ーー常に危機感をもっていた。
チームの目標としてはずっと先にあるんですけど、先を見過ぎないようにみんなに”今”をもっと見て欲しいという気持ちですね。
今のチーム状況はどうなのか、さっきの自分のプレイはどうなのか。常に考えて欲しいかなとは思っていますね。
ーー今治という街についての印象はいかがですか。
他のJFLのチームと比べても、すごく応援してくれるファンの方が多くて、すごく楽しんでもらっていると思います。
なのでそんな人たちのためにも、Jリーグというまだ見たことのないカテゴリーを見せてあげたいという気持ちがあります。
ーー非常に嬉しい言葉です。
自分も含めて、ここにきた選手たちはみんなカテゴリーを上げていくために、その景色を一緒に見るためにきましたから。
J3からJ2、そしてJ1まで味わってもらうために一緒に挑戦していきたいです。
ーー長く今治にいていただけるということなんですね。
プロの世界は厳しいので、結果を出していくしかないんです。
そのためにもぼくらは若い選手よりもいろんなことを犠牲にして1日でも長く選手として活躍できるようにいろんなことをやっていかなければいけないので。
その上で今年はまずはJ3へ。そして、J2に上がるためのスタジアムも、選手としては楽しみですし、どんなピッチに立てるかも今から楽しみにしています。
家にいることが多い今治生活
webのインタビューでも自炊していることなどを話しており、単身でやってきた今治での生活も少し覗かせていただきました。
ーー以前さいさいきて屋でお見かけしました。
あ、そうなんですか。こっちにきてから自炊もするので買い物でよく行っていますね。あそこ新鮮ですよね。
ーー出かけていて声をかけられることもあるんですか。
ありますよ。
ーー声かけられても平気なんですか。
ぼくは全然気にならないですね。
ーー外食も行かれてるんですね。
ときどき行きますよ。選手のためのメニューを今年から作ってくれているので、風音さんはバランスもボリュームいい感じなので、よく行きます。一人がほとんどですけど、たまにチームメイトともいきますね。
ーーオフの日は何されているんですか。
体のケアに当てていることが多いですね。あとは家にいますかね、だいたい。
家族が来てると一緒に出かけたりしますけど。
ーーゴルフもされてるんですよね。
そうですね。シーズン中は行こうとは思わないので、オフにまた行きますかね。コース回るのが好きなので。
無事に昇格を決めて。
昇格を決めたマルヤス岡崎戦でもフル出場でチームの勝利に貢献。1年を通して試合にで続けた末につかんだ、一つの目標でもある昇格。その結果を残したおよそ10日後に現在の心境を聞いてきました。
ーー昇格したマルヤス岡崎戦に入る前にはどんな気持ちでしたか。
その日は、昇格するために勝つということだけでしたね。自力で決めるには勝つだけなので。
ーー試合終了の瞬間、昇格の瞬間はいかがでしたか。
その試合で必ず決めたいというこ感じではなかったんですけど、ホームで決められたというのはすごく嬉しかったですね。まあ瞬間はホッとしました。
ーーなにか昇格記念でご褒美みたいなのってありましたか。
いや全然ないです。
ーー残り試合はどういったものにしたいですか。
やっぱり心残りとして、優勝はできなかったので。それ以外の最高順位である2位は目指さなきゃいけないと思っています。
最後はホームでもやれるので、来季につなげるためにも消化試合とは思っていません。
ーー観客の数も気になります。
観客数が増えれば増えるほど、選手のモチベーションにもなりますから。いろんなイベントとかも開催してくれてますし、あとはぼくたちの内容次第。もう一度見に行きたいと思えるプレイができるかどうかなので、残り試合もそれだけを考えて望みます。
ーーいよいよJリーグの舞台ですが。
昇格して確かに嬉しいですけど、ここで終わりではないと思っています。ぼくはもう一度J1でやりたいという気持ちでここに来ているので、そのための一つの通過点ですね。
この場所で、また来年も見に来てもらえるように、最高のパフォーマンスを見せられるように頑張ります。
口数こそ少なく、普段は寡黙な駒野選手。
インタビューの中でも、チームのことを聞けば溢れ出る想いを抑えることなく、課題や改善策、これから先のことなどが次々と出てきます。
世界を相手に戦った選手が、時を経てこの今治という地を次の活躍の舞台に決めました。
ともにカテゴリーを駆け上がり、もう一度J1の舞台へ、そしてその先へ。夢を見せてくれる期待は高まるばかりです。