【コラム】発達障がいの息子の園選びと入園準備(高橋歩美)
障がいとともに生活する。
お久しぶりです!
みなさまお元気でしたか?
2019年の4月から半年間みとん今治で発達障がいの息子についてコラムを書かせていただいてました。
あれから約2年弱。世界は未曽有の事態に陥り、医療関係者の方だけでなく、大変な生活を強いられている家庭もたくさんあると思います。発達障がい児を育てるご家庭では、マスク、ソーシャルディスタンスをはじめとして、急なスケジュールの変更に対応できなかったり、思うように外出できなかったりすることで本人だけでなく家族の心労も蓄積されていると思います。本当にお疲れ様です。
そんな今。
今回も発達障がいの息子と家族と仕事、生き方について色々と書いていきたいと思います。
まずは自己紹介です。
私は今治市在住の34歳、夫と3人の子ども(長女小1、次女年中、長男年少:自閉症)と暮らしています。第一子出産までは高校で英語の教員をしており、そこから5年の育休を経て、現在は特別支援学校で勤務しています。
第三子の長男は4歳半。
発達障がいの疑いが高いと診断を受けたのは1歳8か月。(そこまでの経緯に関しては過去の投稿を見てください→https://miton-imabari.jp/column-ayumitakahashi/ )
療育施設と保育所を併用する生活を続け、3歳前に療育手帳を申請し、3歳1か月で自閉症スペクトラムと診断されました。現在、簡単な言葉掛けへの反応は時々ある程度で、喃語や発語は全くありません。
今年度からは姉の通う認定こども園に入園し、療育施設を3か所併用し、保育所等訪問も利用しながら毎日を送っています。
今回、私がまたコラムを書いたのは、発達障がい児と健常児の両方を育てる保護者として、また、障がい児を支援する教員としての両方の立場から、課題がたくさんあると感じたからです。それと同時に、改善できることもまだまだあると感じているからです。
発達に不安のある子どもを抱える保護者の方の支援ももっと必要だと感じています。また、障がい児に関わらず、子育て中の保護者の意見ももっと聞いてみたい。少しでも住みやすい世の中になってほしい。そのためには、まず支援を受ける側と支援する側のニーズをもっと正確に把握したいと思いました。
そこで、今回、3種類のアンケートを用意させていただきました。(URLをクリックしてアンケートにご協力ください。)
※全部で20問ほどです。
①発達障がい児(発達に不安)を抱える保護者向け
https://forms.gle/eoL1KU4c1PRvj7U57
②障がい児に関わる(関わっていた)教育関係者・支援者向け
https://forms.gle/yAwjW8ds2nguqsTt8
③①、②以外の子育て中(子育てをしてきた・するかもしれない)方向け
https://forms.gle/v7AtUFPoe9Bhcd4RA
このアンケートに協力してくれたからと言って行政や教育現場に反映されるかどうかはわかりません(そうなってくれることを夢に見てますが)が、様々な立場の意見が出てくることで気づけることや、変わる未来があるかもしれない。これから解決していくべき課題が何なのか知るきっかけにはなると思うのです。
結果はシェアして無駄にならないようしたいと思っていますので、ご協力いただけると助かります。(お知り合いの方にシェアしていただけると嬉しいです)またご意見・ご感想など何かあれば気軽にDMしていただけたらと思います。
また、今回の連載では私一人ではなく、同じように発達障がい児を育てる現役のママたちにもそれぞれの経験談を綴ってもらおうと思っています。
拙い文章にはなりますが、このコラムが読んでくださった方々の心に何か残るものになれば幸いです。よろしくお願いします。
第一回 息子の園選びと入園準備
来年度が近づき、入園準備などを進めているご家庭も多い時期なので、今回は、入園までの経緯について我が家の体験談を書きたいと思います。
保育所や幼稚園の希望調査は12月で締め切り、今の時期には、来年度の入園先が決定している方がほとんどだと思います。
障がいのある子、発達に心配のある子を持つ保護者にとって、園選びは非常に悩ましい問題です。療育施設に毎日通園することを選ぶ人もいれば、保育所や幼稚園を利用しながら週に数回療育施設に通うことを選ぶ人もいます。
私の場合は、共働きで療育施設の利用開始の10時には始業が間に合わず、朝は園に預け、日中は療育施設を利用し、夕方園に戻ってきた息子を、仕事終わりに迎えに行くというスタイルを選びました。
週4日は療育施設で日中を過ごし、1日だけ保育所等訪問を利用して、療育施設の先生に付き添ってもらいながら園で一日を過ごしています。
園選びに関しては、長女が卒園し、次女が在園していること、校区内にあること、同じ敷地内に行き慣れた療育施設があり、先生たちが密に連絡を取り合うことができることを踏まえ、今の園を選びました。(実際には、夏休み中に他の保育所にも問い合わせをしたこともありましたが、話を聞く以前に、「忙しいし、話を聞く義務はないので」(今思えばすごい言われようw)と門前払いを受けたこともありました。今となってはそこにしなくてよかったなと笑い話ですが、当時は心が折れました。(ま、ご縁がなかったということで。)
しかし、いくら姉二人が御世話になったとはいえ、息子は療育手帳持ち、診断付きの自閉症。おまけに言葉掛けに対して反応がなく、まったく話せない。喃語もない、指差しもない。これで大人数の園にお願いするのは、命の危険も伴うし、正直悩みました。
毎日の姉たちのお迎え時には息子を連れて行き、先生たちには発達障がいの可能性が高いことも話していましたが、息子のことをきちんと知ってもらいたいと願書を出す前からきちんと話し合いもさせてもらいました。療育施設の先生たちにも同席してもらい、大丈夫だろうと言ってもらいましたが、それでも私は不安で仕方なかったです。
息子をはじめとして発達障がいのある子は家、療育施設、学校等場所により見せる顔が大きく違うことが多いです。(もちろん変わらない子もいます。)
息子は保育所や施設ではお利口で、家でははちゃめちゃだったので、それを毎日見ている私には大丈夫なイメージができなかったのです。場所により見せる顔が違うのは誰にでもあることですが、環境の変化に弱い子も多く、我が子も適応できず崩れたらどうしよう、とかなり心配でした。
それでも「大丈夫。」という先生たちの言葉を信じ、入園が近づいてからは、先生と保護者に向けて息子の取り扱い説明書を作りました。
息子が自閉症であること、話せないこと、視覚優位であること、パッと衝動的に体が動いてしまうこと、危険なことがわからないこと、名前を呼んでも無視しているかのような態度をとることなど。
自閉症の特徴というよりは息子の特徴を書いて、どう対応してほしいのか、どうしてなのかなど書きました。
配慮はしてほしいけど、遠慮はしないでほしい。
この子にとってこれが人生で最後の一番大きな集団生活になるかもしれないこと、どんな子に育ってほしいと思っているかなどを教員向けと保護者向けに書きました。
保護者向けには特に、行事ごとで迷惑をかけてしまうかもしれないこと、息子を邪魔だと思ったり、動きが変だと思ったりことがあったとしてもその気持ちが自然で構わないこと、息子はみんなと違うのだということをわかりやすく伝わるよう意識しました。
「この子、発達障がいですか?」って他人に言ったことある人いますか。
おそらくいないのではないかと思います。
他人から聞かれたり、指摘されたりすることはほとんどないのです。気になっても直接聞ける人はあまりいない。先生の立場であっても、よかれと思って言った一言で、「なんなんですか!!いきなり!!失礼な!」という風に保護者側の受け皿ができてなくて逆効果になることもあるかもしれないことを考えると、ナイーブな問題で口を出しにくいのが現状なのではないかと思います。
だからこそ、不安があるなら保護者側から相談をすることが大事だと思います。それだけで会話の入り口が違うし、相手もどういえばいいか無駄に気を揉む必要もなくなり、純粋に支援の内容を話し合うことができるようになるのです。勇気を持って自分から話すこと、大切だと私は思いま す。
「何を」「どこまで」、「誰に」話すのかについてはよく考えた上でご家庭で判断したらいいと思います。
この取説の作成自体、実は相当悩みました。が、理想の家族の未来を考えた時、この子が例え重い障がいであったとしても、私たちはそれを笑いに変えていく明るい家族でいたいし、自分たちだけでは生きていけないから周りに助けを求められる家族でいたい。でも、助けてもらうからといってマイナスを感じ、引け目を感じて生きるつもりはない。姉二人にもきちんとした理解をしてもらいたい。そのためにもオープンにして生きていくことを選びました。
母として私のできることは息子の特性を知り、それを周囲に伝えて理解してもらうこと。逆にこれ以上してあげられることはないのではないかと感じています。
この選択がベストだったかはわかりません。でも一つだけ。一生懸命悩んで苦しんで出した結果は、紛れもなくその時の私の(あなたの)ベストです。例え失敗したと感じても、感じたその瞬間に修正すればいいのです。人生やり直しはききます。
「間違ったかも」って思うことはたくさんあります。でも、気づいた自分に「偉いね」って。ここからまた修正して明日から頑張ろうって。
毎日はその繰り返し。気づいたら直せばいい。やり直せばいいのです。
その一瞬の変化が一日を変え、一日の変化が一か月後のあなたを変える。その一か月が三か月続けばそれは習慣に変わる。そして一年後のあなたたち家族を創るのです。
子どもの発達に悩みを抱える方、誰にも言えず悩んでいる方きっと多いと思います。自分からと書きましたが、とても勇気がいることです。簡単なようで難しい。でもその一歩は本当に簡単なことなのです。
今は明るく書いてますが、息子が1歳半の時、私は3人の子育てに疲れ果て「息子なんか生まなければよかった」と泣きながら知り合いの保育園の先生に電話をしました。誰でもいいから助けてほしかった。
どんなに話しかけても私を見向きもしない、息子がニコリともしてくれない。育児の楽しさって成長の過程が見えることと、反応が返ってくることなんですよ。何にもなかったら何にも楽しくない。私の言葉数も減っていく、ネットでは話しかけが足りないなどと根も葉もないことが書かれ、祖父母は息子を見て落胆する。「こんなダメな母親だから」、と自分を責める、どうしていいかわからない、時間だけが過ぎる。自由になりたい、一人になりたい、でもできない。そんな抜け出せない毎日を打破するきっかけはこの1本の電話でした。
今年はコロナ禍で気持ちが沈んでしまう状況ですし、冬は気分も沈むもの。知らないだけで同じように不安や悩みを抱える方はきっとたくさんいると思うのです。気が向けばアンケートにもご協力くださいね。
①発達障がい児(発達に不安)を抱える保護者向け
https://forms.gle/eoL1KU4c1PRvj7U57
②障がい児に関わる(関わっていた)教育関係者・支援者向け
https://forms.gle/yAwjW8ds2nguqsTt8
③①、②以外の子育て中(子育てをしてきた・するかもしれない)方向け
最後に、日々の子育てに奮闘しているあなたへ。あなたは、母親(父親)である前に一人の人間です。あなたにはあなたの人生があるのです。自分の人生も大切にしながら子育てを楽しんでいく意識を忘れないでください。
高橋歩美