【コラム】今治における療育施設の実態(高橋歩美)
今回のコラムは、今治で私自身が体験した療育施設の経験をできるだけ詳しくご紹介したいと思います。
発達に疑いのある現在2歳9ヶ月の息子が、療育を受け始めたのはちょうど一年前の今1歳9ヶ月の時でした。
1歳過ぎから周囲への反応が薄くなるなど発達に違和感を覚え、病院で色々な検査をし、発達障害の可能性があるとのことで療育施設を紹介してもらい療育を受けることにしました。
始めは療育そのものが何なのかがわからず、紹介された先でどうしたらいいのかなど聞き、まずはそこから始まりました。
療育を行う通所支援事業は大きく未就学児を対象とした児童発達支援事業と、
就学児を対象とした放課後デイサービス事業の二つに分かれます。
このサービスは手帳の有無に関わらず必要に応じて受けることができますが、まず手続きが必要になります。そのサービスを受けるまでの流れを簡単に書くと、
① 「受給者証」を市の障がい福祉課または各支所住民サービス課で申請
② 「計画相談事業所」を決定する。
③ 計画相談事業所及び支援事業所と契約
④ サービス担当者会議の実施
⑤ 利用開始
私もまずは市役所に出向き話をし、「受給者証」の申請からスタートしました。(手帳などの有無は関係ありません)
また、同時に「計画相談事業所」(私と事業所の間に入り計画を立ててくれる仲介役のようなもの)を決める必要があり、私は詳しく知らなかったので、とりあえずすぐに相談ができる余裕のある所を選びましたが、本当はその辺りも市役所に一覧表もあるので、事前に下調べをしておいたほうがいいと思います。
受給者証自体の申請に2週間~1か月程かかるので、その間に私は療育施設の見学に行くことにしました。
その療育施設ですが、児童発達支援だけでも市内に10の施設があります。(ちなみに私が利用開始した際は8箇所でした。どんどん増えてます。)
私が、最初に病院で紹介されたのはひよこ園でしたが、どこに息子を通わせていいのかわからず、発達支援センターを始めとするたくさんの方に相談したり、見学に何度も通いました。
行く先々で「どこがいいのかはそれぞれ特色があるので一概には言えない。その子に合う合わないもあるし。」と言われました。(当時の私は急ぐ気持ちと焦りで、煮え切らない返事にモヤモヤしていましたが、一年経った今、その言葉の意味がようやくわかるようになりました。)
私は息子は連れずに一人で全ての施設見学に行きました。
実際の施設を見学したり職員の方と話をしたりするうちに少しずつここがいいなと思える場所が見つかり、まずは2か所ほどから利用開始しました。子どものことを思うと、混乱を防ぐためにも1か所で日数を増やし療育を受けたほうがいいと思います。
しかし、少子化が叫ばれる一方で、サービスを必要とする子どもは増加傾向にあり、施設が新設されてもすぐ埋まり、空きがなく、何か所かの施設を併用しながらではないと希望する日数を確保するのが難しい現実があります。
幸い、今治市は施設は併用可能ですが、お隣の松山市は不可能だったり、各市町村によりさまざまなので、利用の際には調べておくことが大切です。
施設を決めたら、計画相談事業所、各施設と契約をし、利用が始まります。施設は空きさえあれば、変更や利用中止も可能です。
実際私は、どこが息子に合うのか悩み、保育所にも通わせつつ、施設を日替わりで併用していました。
しかし、本人には負担だったようで、よく体調を崩すようになりました。また成長するにつれて周囲に反応がない息子も反応が見られ、何が必要か明確になってきて、いろいろな方と相談しながら施設をできるだけ絞っていくようにしました。
結局今は基本保育園に通い、週3日同じ施設、週1は言語療育を目的としての施設に、月1は松山の施設を利用しています。
結局3か所も利用してしまっていて多いのでは?と思われるかもしれませんが、私にとっては3つとも目的が違うのでこれでいいとやっと最近思えるようになりました。きっとこれが私が最初の頃に言われた「それぞれの特色があるから」の意味だったなと1年経ってようやくわかった気がします。
療育と聞くとどんなイメージを持ちますか?
「療育」という言葉を調べてみると、「障害をもつ子供が社会的に自立することを目的として行われる医療と保育。」とありますが、私は発達に心配のある子どもたちに、それぞれに合ったより丁寧な保育や教育を時間をかけて行うことだと思っています。
保護者会など参加すると、療育を受けて特に変わらなかったという意見を耳にすることもありますが、私は息子を1年間通わせて本当に良かったと感じています。それは息子自身に変化が現れたこともありますが、私自身もたくさんの保護者や施設のスタッフさんに出会い考え方が大きく変わったからです。
一人でうじうじ悩んでいた日々から抜け出すことができたように思います。もしかしたら何もしなくても息子は成長とともに変化したかもしれません。
でも何もしなければ「今」の息子はなかったと思います。こんな風にお絵かきもたくさんできるようになったり(どこにでも落書きしますが)
たくさんの方が関わってくれて「今」があると本当に実感しています。
1年前の私と同じように悩む保護者の方がいるとしたら、私は勇気を出してまずは不安を伝えることが大切だと思います。
友人でも発達支援センターの人でも、保育園の先生でも誰でもいいと思います。一人で悩んでもできることは限られています。
行動に移すには本当に力がいります。子育てで日々心身ともに疲れているとは思いますが、まずは動いてみること。私はこれをおすすめします。
発達支援センターに行くと写真のような資料や各施設のパンフレットなどまとめていただけます。
また、保護者交流会なども開催されていますので、気軽に足を運んでみてはいかがでしょうか?
私もまだまだ悩みながらの日々ですが、一つ一つ自分にできることを無理のない範囲でしていこうと思っています。
高橋歩美