ばりじんNo.27。IKEUCHI ORGANIC 田畑友也さん。
ただ、この会社に魅せられて。
今回のご紹介は、まだばりじんでは取材としてかなり数の少ない「会社員」という立場の方です。
IKEUCHI ORGANIC 株式会社の田畑友也さんです。
25歳という若さで今治にIターンし、昨年11月から今治で生活されているということで、話を聞いてきました。
取材をしているこちらが元気をもらえる、そんなインタビューになりました。
仕事が辛いと感じているみなさん。働き始めはこうだったな〜と思える内容になっていますのでぜひ最後までご覧いただければと思います。
〜京都出身京都育ち〜
突如今治にやってきた若者のルーツは、京都。
日本海に面した舞鶴市で生まれ、大学も京都府内の大学に進学。
大学では主に企業の社会的責任などを研究するゼミに所属。
「社会にとって良いこととは何か」を考える中で、この時すでにテキスト段階ではIKEUCHI ORGANICと出会っていたと言います。
(本社工場。一部にFactory Storeが。)
「大学時代には、すでに当時の池内タオルという会社は事例研究の形で知っていました。あくまで当時は事例の中の一企業でした。」
と話すように、この段階では今治とは縁もなく、大学3年生にもなると周りの雰囲気に流され、いわゆる通常の「就活」を開始します。
当時の就職したい企業は、インフラ系の企業と決め、何か漠然と人の役に立てるような、人の生活を支えるような企業にという想いから、上下水道の機械メーカーに就職が決まります。
働く意味を考える。
こうして就活の波に乗り、会社員に。
生まれ育った京都を離れ、福岡、高松へと全国転勤を経験します。
田畑さんの担当は、役所への営業。
始めは仕事を覚えるのに精一杯で、とにかくがむしゃらに働きます。
しかし、日々業務をこなす中で、次第にハテナがつき始めます。
「このままここで仕事をしてて、自分に何が残るんだろう。」
そうした気持ちが芽生え始めると毎日がハッピーではなくなり、定年までこの会社で勤め上げるイメージが湧かなくなったと言います。
「働くって人生の中でかなり大きな部分を占めるじゃないですか。働くか、寝るかで人生のほとんどは占められちゃいます。ということは働くことって人生そのもので、一体自分は何をして生きたいのかを考えるようになりました。」
しばらく悩んだ挙句、
「自社の利益を最大化するような会社ではなく、社会的な意義を見出せる会社に行きたいと思うようになった。」
大学卒業してすぐにこの考えに至る時点ですごいんですが、彼がすごいのはここから。
「それからゼミの教授にも相談し、IKEUCHI ORGANICを紹介してもらいました。実は転職活動も、会社に在籍しながらではなく、まず辞めてから動きました。」
この行動力です。
そして、IKEUCHI ORGANICの面接で言い放った言葉は、「ここ以外採用面接は受けておりません。」
この時点でおそらく採用担当者も決定したんじゃないでしょうか。
(本社工場の一部を改装して造られたFactory Storeにはかつての看板や機械が。)
かくして、晴れて採用が決定し、11月1日から今治へやってきました。
実は泥臭く、特別なことはしていない。
まだ入社して数ヶ月ということもあり、日々吸収している最中だと話す田畑さん。
そんな彼が担当する場所はWeb。
ECサイトなどからの発注を受け取ったり、問い合わせいただいたお客様ともやりとりする部署に所属しています。
(ちょうど取材の日に出荷開始したコットンヌーボ)
(コンセプトは、ワインのように楽しむタオル)
働き始めた印象を聞いてみると、
「意外と泥臭いな、と思いました。タオル会社なので泥臭いという表現が適切じゃないかもしれませんが(笑)、地道にコツコツ社会を変えるためにやっているんだなという印象です。」
ここで一つご紹介。IKEUCHI ORGANICの企業指針は、
『2073年(創業120周年)までに赤ちゃんが食べられるタオルを創る』
だそうです。
(現在のラインナップ※まだ食べれません。)
いやいや、というツッコミをしたくなりますが、これは決して大げさな指針ではなく、この目標を達成するべく、IKEUCHI ORGANIC社の工場は「製品」としての安全基準はもちろんのこと、なんと「食品」としての安全基準もクリアしているそうです。
私も取材の際には、よく食品工場で見られるようなキャップなどの衛生条件をクリアして入場させていただきました。
そんな会社で働く田畑さん。
話をしている間、ずっと目がキラキラしていました。
「まだまだ入社して浅いので、大きな提案などはできてませんが、小さな改善提案も真剣に向き合ってくれますし、自分の考えや想いを素直にぶつけることができています。」
「会社として取り組むものづくりには当然プライドがありますが、何も特別なことはしてなくて、そっちのほうが断然にお客様にとって良いものだと判断しているからやっていることです。そうした想いを乗せて作ったものを、一人でも多くの人に届けるのが今の僕の仕事です。」
「なのでお問い合わせのメール一つでも、しっかり見直しますし、丁寧さを常に意識しています。電話の場合は、さらにそれに楽しさをプラスできればと思って対応させていただいています。」
と仕事上での意識する部分もお話いただきました。
IKEUCHI ORGANICと、田畑と、これから。
今治に来る前の今治の印象は、やはりタオルと造船だったと話す田畑さん。
入社してからというもの、タオルがめっちゃ好きになったと話します。
「まだまだ生産の工程とかも含めて勉強不足な部分は多いんですが、タオルにはそれぞれ個性があって、それを感じてるのがすごく楽しくて、今どんどん好きになってきてます。」
と、青春の恋を想像するかのように、IKEUCHI ORGANICのタオルに夢中になっているようです。
(亀老山展望台からの景色)
こちらに来る前に訪れた亀老山の展望台からの景色が今治の中で印象的だったと話し、
「まだ全然どこも行けてません。飲み歩きとか好きなので、少し余裕ができたらやりたいですね。」
今治を楽しむのはこれからのようです。
最後にこれからの目標、将来像について話を向けると、
「具体的にいつまでにというのはないんですが、『IKEUCHI ORGANICの田畑』からタオルを買う人を増やしていきたいんです。」
と話してくれました。
(グリーン電力証書とは、風力発電で発生した電気をもとに生産を行う証です。)
モノを売る仕事とはいえ、その販売はヒトを介して行われます。
その間に立つ人間として、製品に乗せる想いを伝え、自分個人を指名して購入する人が増えることを目標としているそうです。
自社の利益のみを追い求めるのではなく、持続可能な社会を実現するためにやってきた会社で、目を輝かせながら話す田畑さん。
どこのタオルを買いたいかではなく、「田畑が言うんだから間違いない。買おう。」そう思われる人になると将来像を語っていただきました。
「今めっちゃ楽しくて、月曜がくるのが全然苦痛じゃないですね。よし、やってやろうという気分になっています。」
こういう気持ち、入社当初は誰しも持っていたんじゃないでしょうか。
非常に有望で、将来を見据えた若者が今治にやってきました。
そういう輝く人材を惹きつける会社、製品、ヒト。
今治というまち全体がそういう場所でありたいと思うと同時に、一緒に成長していければと強く思わせていただきました。
IKEUCHI ORGANIC 田畑 友也