ばりじんNo.28。セイワパッケージ渡辺英徳さん。
古い業態に新しい風を。
今回のばりじんのご紹介は、今治タオル業界でパッケージ屋さんとして勢いのある有限会社セイワパッケージの渡辺英徳さんのご紹介です。
タオルに囲まれた中で、お忙しくされている中で初の夜取材にご協力いただきました。
古い業態の中で、親から引き継いだ大事な会社に新しい風を送り込むそのスタイルをぜひごらんください。
サラリーマン時代
今治市で生まれ育った渡辺さん。
小さい頃から両親がタオルのパッケージ屋さんをしていたものの、「一切興味がなかった。」というように、タオルとは無縁の社会人経験を。
名古屋でトラックの運転手をしたのちに、子供が小学校に上がるタイミングで地元今治へ戻ってくることに。
その後に、今治市内の会社に就職し「自分でいうのもあれやけど、めっちゃ頑張った」というサラリーマン時代を11年間経験したものの、「全然働かない人と給料が一緒というかほとんど変わらないことに次第に納得がいかなくなった。」と話し、そのことからもやもやを抱えていたと話します。
そんな渡辺さんがいかにして家業を継ぐことになったのか。
タオル検品屋さんの世界へ
「なんか社長さんって呼ばれたい年頃ってあるやん??笑」
謎の感覚に襲われたと話す渡辺さんは、「小さい頃から全く親父の仕事を手伝ったこともなかったですね。一番やりたくなかった仕事です。」とこの仕事への印象を話します。
しかし、退職しようかなと考えたタイミングと、父親がやめようかと口にしだした時期だったこともあり、
「社長と呼ばれたい年頃だったし、笑。兄貴は絶対継がないってわかってたし、40歳というタイミングもあったし、やってみようかと。」思い、タオル検品屋さんの世界に。
初めは外回りから始めることに。しかし次第に父親との関係は悪くなり、ケンカも多くなってきたこともあり、
「本気でやろうと思って、父親から昨年の夏には経営から離れてもらいました。」と決別。
「結局一緒に仕事一緒にしなくなったらまた仲良しにもどってますけどね。」
こうして有限会社セイワパッケージの代表として独り立ちすることに。
検品屋さんのお仕事
今治にいながらタオルのことをほとんど知らないぼくのために、どのような仕事かを説明していただきました。
「各タオル会社さんが作ったタオルを預けていただき、ここで検品をします。そのあと箱に入れたり、袋に詰めたりして、ほとんどのものはお客さんの目の前に並ぶ売り場の最終段階まで作り上げます。」
つまり、みなさんがタオル商品を手にする段階のものは、ここで最終的に作られているということです。
「この業界ではぶっちぎりに若いと思う」と話すように、伝統的な産業の華やかではない部分にはなかなか若い人がいない中で、渡辺さんは昨年に大きな作業場を新設しました。
その作業場には、遠くから働きに来る人のことも考え、休憩スペースも新設。
もぐもぐタイムができる場所があるみたいです。
そうした他にはない環境をそろえ「基本的に仕事は断らない。」と話します。
「現在スタッフは内職さんを含め30名以上にお仕事をしていただいてます。ぼくらの仕事はそれぞれ仕上げのやり方が違ってたりするんで、どの人にどの仕事してもらうかというところに気を使います。」
「年齢も幅広く、30歳代〜80歳くらいまでいらっしゃいます。スタッフの中にはタオルソムリエの資格を持っている人もいたり、能力の高い人も多く在籍しています。なので、多くの数がこなせて、タオル会社のみなさんにも喜んでいただき、また仕事をいただけるといういい流れになってきています。」
「さばける量は他ではできないレベルでやれていると思います。」
こうしたスピード感のある仕事が徐々に信頼を獲得してきているといいます。
「父親がしっかりとした仕事をしてくれていたこともあり、信用はかなりそれまでに蓄積されていたので、それで今こうして順調に仕事がいただけています。」
とは話すものの、「父親の時代にやっていなかったところまで仕事を回していただいています。」
セイワパッケージの特徴
「検品作業って全然設備投資がいらないんですよ。ハサミとセロテープくらいです。なので、人件費が全てです。人が多く、大きな作業場があるのが特徴です。内職だと、例えばバスタオルのような大きなものってすごくやりにくくてどこも大変な仕事として断っているものを、ぼくは全部もらってきてます。」
とその特徴を話し、さらには若い内職さんが多いことで作業の効率もアップしているといい、
「今はLINEで動画とか写真でやり方を伝えることができるし、報告などの連絡もすごくスムーズにできています。それで、今では内職さんの性格などもしっかり把握してますし、どんな内容のものが合うのかも考えて仕事をしてもらってます。」
現在市内のタオル会社7社から仕事をいただいている渡辺さんも、
「実際そういった細かい仕事は、嫁さんがやってくれていて、仕事を回してくれています。この人じゃないと無理だなと思ってます。スタッフさんも女性ばかりなんで、ぼくはそこには入らないようにしてます。気持ち良く仕事してもらっているのが一番なので。」と話してくれました。
また、「ぼくかなり軽いノリというか誰にでもどんどんいくので、それも他のところと違うところかもしれません。」
「それと、正直言ってどこよりも高い単価で仕事を引き受けたりしてるので、内職の方にもそれだけの報酬もお支払いしてるので、辞める方がほとんどいないのが何よりの特徴かもしれません。」
これからの展望
「特別にどんどん会社を大きくしようという気はないですね。自分の手の離れるような規模にはしたくないですかね。」
こう話す渡辺さんの趣味はバドミントン。
油断すると週5回バドミントンをすると話し、「とにかく休みができれば外に出たい。」といいます。
また、2人の子供には「長男には継いでくれたらいいなぁというくらいに思ってますね。今は全然やりたくないって言ってますけど、ぼくも小さい時はそう思ってたけど、今はやってますからね。笑」
「今は本当にいろんなところから頼られているという感じがすごくあって、すごく楽しく仕事ができてます。テレビ見る時間もなくなりましたし、寝る時間も減りましたけど、すごくいい感じで回っていると思います。」とその充実感を話します。
全国に知れ渡ることになった今治タオルの最後の部分を担当し、ブランドを維持してくれています。
内職に興味がある人、タオルが好きな人、バドミントンが好きな人。
お声掛けしてみてくださいね。