【コラム】今治がもし100人の村だったら(管大樹)

今治には約16万人の人が住んでいる。

この街が急速な少子高齢化と人口減少の流れの中にあることは周知のこと。

でも、ここ今治は四国では5番目、日本全国でも1741ある市区町村のうちでも177番目に人口の多い都市。

 僕のいる商店街エリアは高齢者が多く住んでいて、4つあった小学校が1つになったエリアでもある。

一方、夏の土曜夜市やおんまくには、中学生たちが大勢やってくるし、先月のハロウィンイベントでも、たくさんの子ども達が商店街を走り回っていた。

こうした一時的な「子ども達の集合」を見ると「まだ大丈夫」と錯覚してしまう。

ベースとして16万人も人口がいると、どこかに子ども達は大勢いて、たまたまそれを目にすると、人口減少も少子高齢化も、実感は薄れてしまう。

そもそも、今治に住んでいても、忙しい毎日を送っていれば、日常の中でこの街の人口のことを意識することはない。

何年か前に「世界がもし100人の村だったら」という文章や絵本が話題になった。

地球上の人口75億人が、仮に100人だったらどうなるのか。75億を100人まで縮小し、人種、宗教、言語や生活状況などを100分率に置き換え、あらゆる違いを明るみにし、国境を越えた世界の相互理解を訴えかける内容だった。

同じように、今治の人口16万を100人まで縮小し「今治がもし100人の村だったら」を作成してみた。

結果、「少子と高齢化」のコントラストがはっきりと浮かび上がった。

作成には今治市役所の情報政策課が公開している人口統計資料、企画財政部の「今治市人口ビジョン」や、web上に公表されている総務省の様々なデータなどを参照した。

小学生でもこの街の全体像をイメージできるように、平易な文章で書いた。

ぜひ、お子様にも読んで聞かせていただきたい。また、学校のホームルームや社会の授業で、この文章をもとに議論する場が設けられることを期待する。

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「今治がもし100人の村だったら」

今治に住む100人のうち

53人が女性です。

47人が男性です。

そのうち、外国から来た人は2人です。

陸地には89人が住んでいます。

島には11人が住んでいます。

3年間で2人の赤ちゃんが産まれました。

3年間で4人の方が亡くなりました。

3年間で7人の人がこの村に引っ越して来ました。

3年間で8人の人が別のところに引っ越して行きました。

今治には48軒の家があります。

25軒の家では年収が300万円以下です。

3軒の家では年収が1000万円以上です。

生活保護を受けている家が1軒あります。

今治に住んでいる100人のうち

子どもが16人です。

大人は84人です。

今治に16人いる子ども達のうち、

赤ちゃんは2人です。

保育園に通う子は2人です。

小学生は6人です。

中学生は3人です。

高校生は3人です。

16人の子ども達のうち、

ひとり親の子が1人います。

今治に84人いる大人のうち、

20代の人は8人です。

30代の人は10人です。

40代の人は14人です。

50代の人は12人です。

60代の人は15人です。

70代の人は14人です。

80代の人は9人です。

90代の人は2人です。

今治に住む20〜30代の若者は、

男性が9人です。

女性が9人です。

昨年は1組のカップルが結婚式を挙げました。

今年は誰も結婚しそうにありません。

84人の大人のうち、

45人の人が働いています。

そのうち、5人はお年寄りです。

今治に住む100人のうち、

52人が50歳以上です。

そのうち、34人がお年寄りです。

34人のお年寄りのうち、

介護や支援を受けている人が7人います。

認知症の人が5人います。

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今治の高齢化率は34%(全国平均28%)で、この街に住む半分以上の52%が50歳以上で(全国平均44%)、今治は高齢化の先進都市だ。

(商店街内にある自動販売機。売切ランプが多く灯る)

高齢化の結果として起こることの一つに、働き手不足がある。

人手が足りず、商品やサービスを提供できなくなるところから、経済は衰退していく。

例えば、自動販売機が設置されていても、売り切れたジュースを補充する人手がなければ、ジュースを買うことはできないし、設置場所のオーナーや飲料のサプライヤーも売上を獲得することができない。今後、売り切れだらけの自販機は増えて行くだろう。

未来の働き手となる子ども達は、親世代(30〜40代)の2/3しかいない。

子ども達は将来、少ない人数でどうやって職場を回し、社会を維持し、たくさんいるお年寄りの分まで働くのか?

思いつくのは「外国人」と「ロボット」で人手を補うということだ(移民受け入れに対する賛否の議論は割愛する)。

そうすると、未来では今よりも街には外国人が増え、職場にはコンピューター制御の仕事が増えていく。そんな社会を担うことになる子ども達のために、僕たち大人はなにしなければならないのか。

それは、子ども達に「英語」と「プログラミング」の学習機会を作ってあげることに他ならない(※)。

海外で活躍できる人材になるために英語が必要になるのではない。普通に働いていても、人手不足を補うために移住してきた外国人が同僚になるからだ。

将来、凄いアプリを開発し、世界にイノベーションを起こすためにプログラミングが必要なのではない。人手不足を補うために、コンピューター制御のロボットに自分の仕事の一部任せ、簡単な不具合なら自分で直さなければならないからだ。

僕は2年前の10月に今治に移住してきた。

「住む」ということは、「その街の現在と未来に責任を持つということ」だと考えている。

だから、今治が迎える未来と子ども達のために、この街にあるもの、ないものを徹底的に調べ、ないものを作りたいと思った。

今治には多くの英会話スクールがあったが、子ども達がプログラミングを学習できる環境はなかった。

だから、昨年の10月にプログラミング教室を作った。

僕はプログラマーではない。

教室の開設にあたってプログラミングを勉強した。

今でも毎日プログラミングの勉強は欠かさない。子ども達と一緒に未来を切り開くためだ。

人口減少、少子高齢化は今治だけが陥っている問題ではない。

日本全体が飲み込まれている大きな流れだ。

この流れの先に、「外国人とロボットがたくさんいる社会」が待っているのかどうかは、わからない。

だけど、この流れを傍観するわけにはいかない。

まだまだ続くこの流れの中を、将来、子ども達が上手く泳いで行けるようにすることが、今の大人の役割だと思っている。

※:現在今治に住む外国人は、半数が中国から来た人達だが、中国もまもなく少子高齢化を迎え今治と同じ水準の人口比率になると予測されている。今後はインド、パキスタン、バングラデシュ、フィリピンなど現在人口増加が著しい国々からの移住が予想される。これらの国々では様々な言語が母語となっているが、第2公用語として英語が使われている。また、プログラミング言語では英語が使われており、ネイティブレベルの英語力は必要ないが、コードで使われる英単語は理解する必要がある。

 

<筆者プロフィール>

管大樹(かん だいき)1978年山形市生まれ。都内でバリスタ、レストランマネージャー、専門学校設立プロジェクトを経て独立。教育カリキュラムの作成・講師等を行う他、日本の食文化の再発見を目的としたイベント企画・レストランのスタートアップサポートを行う。2016年10月より地域おこし協力隊として今治へ移住。翌年4月に商店街に中高生向け施設「F;今治の中高生のひみつきち」、10月に小学生向けプログラミング教室「テックプログレス 今治連携校」を開設。子ども達の未来を見据えた事業の開発から商店街エリアの再生を目指す。

「テックプログレス 今治連携校」では受講生を募集しております。詳しくはホームページをご覧ください。https://tp-link-imabari.wixsite.com/imabari-techprogress

 

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